2009年06月02日

いかにしてボサノヴァ/ブラジル音楽にたどりついたか。

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 早いもので来月Barquinhoはオープン1周年を迎えます。この1年間なんとか営業出来てきたのは日頃ご来店いただいているお客様のおかげ。ほんとうにありがとうございます。まだまだ至らぬ点ばかりですが、ぜひ今後もBarquinhoをよろしくお願いします。

 ちょうど1周年の7月11日(土)にはBarquinho店内でイベントを予定しています。現在決まっているのはサブリナ&サンチェスとアルトゥール・ヴィタウのライヴ。この日はノーチャージでこの若きブラジリアンたちの素晴らしいステージを楽しんでいただこうと思っています。また、その他のイベントも現在企画中ですので、もし面白いアイデアがあればぜひヒガシノまで教えてください!

 さて、お店が1周年を迎えるということで今回は初心に立ち返って「どうやって自分はボサノヴァ/ブラジル音楽にたどりつき愛好するようになったのか」を書いてみたいと思います。お恥ずかしながら現在放置状態になっているHP「これがボサノヴァ」の初期(10年くらい前)にも同様のことを書いていましたが、HPをリニューアルした時に削除してしまったので、少し補完しながらもう一度ここに書いてみますね。

 今まで長いあいだ音楽に関係する仕事をし、また、自分で演奏活動もしてきたのですが、いまだに飽きずにそれを続けているのは間違いなく、中学2年の時にビートルズに出会ったから。いきなりブラジル音楽とは全く関係ありませんが、これは自分にとって揺るぎない事実なのです。詳細は忘れましたが、ジョン・レノンがインタビューで「若い頃はロックン・ロールだけがリアルだった」という発言をしていたはずですが、まさに自分にとっても同様に“音楽”だけがリアルで、それ以外のことは全く見えなくなってしまったのです。ギターを独学で始めたのもその頃でした。
 
 その後はUKロック好き少年のおきまりのコース、ハードロック、プログレ、パンク、ニューウェイヴ、ネオアコと様々に追体験、原体験を重ねていきました。ただ、ある時期からロックが徐々に自分にとって“リアル”ではなくなってきて、ジャズやソウル、そしてワールド・ミュージックにも手を出しはじめます。1988年くらいのことでしょうか。

 バブル経済まっただ中、僕は全くその恩恵を被ることなくバンド活動なんかしながら地元の喫茶店で安い時給でアルバイトしていたのですが、そのお店はけっこういろんなジャンルの音楽がアナログ盤で揃っていて、暇な時はそのレコード群を片っ端から聴いていました。そんなある日、それらのレコードの中からアストラッド・ジルベルトのアルバム(恐らくベスト盤だったと思う)に出会ったのです。アストラッドはヘタウマ・ヴォーカルと呼ばれることが多いけれど、20代前半の僕にはえらく大人の音楽に聞こえたし、使われているコードやリズムはそれまで聴いたことのないものだったのでとても印象に残りました。ただその当時はインターネットも無く、ボサノヴァやブラジル音楽の情報源も限られていたので、まだまだ“ハマル”といったところまでは行きませんでした。

 本格的に自分でもボサノヴァを演奏したいと思ったのは1992年の冬のこと。PAの仕事をしている友人が「ある結婚式のパーティーで藤原カオルさん(大阪では有名なギタリスト)がボサノヴァのライヴをするから見に来ないか」と誘ってくれ、知り合いでもないそのパーティーで初めて生演奏のボサノヴァを聴いた時のことでした。それまでボサノヴァは聴くだけのもので、自分で演奏できるとは思いもしなかったのですが、カオルさんの軽やかなギター、自然体の演奏を聴いてどうしても自分でもやってみたいと思ったのです。

 とはいえ当時は今ほどボサノヴァの教則本が充実していなかったし、音源もなかなか入手しづらかったので、とりあえず『ゲッツ/ジルベルト』に入っている「イパネマの娘」や「コルコヴァード」などのスタンダードナンバーのジョアン・ジルベルトによるギター伴奏を、一音一音耳でコピーしていきました。それまで3声のコードか、せいぜいメジャー・セブンスぐらいしか弾いたことがなかったのでそれを解読するのはとても時間がかかったし、難しかったのを覚えていますが、単純にコードを覚えるよりはその構成音の成り立ちを理解するのに良い体験だったと思っています。また、ポルトガル語というそれまで聞いたことの無い言語を、意味もわからず聞こえるがままに真似をして歌うのも楽しかったです。

 同時期にJICC出版局から『ボサノヴァの歴史』が出版されていて、それを繰り返し読み込んだのも、さらにのめりこんでいくきっかけとなりました。「ボサノヴァがいかにして生まれ世界に羽ばたいていったのか」のみならず、それを作った若きアーティスト達の青春ストーリーにも心を奪われたのです。膨大な人名、作品名が出てくるこの本はブラジル音楽の知識が高まるほど新たな発見がある、ボサノヴァ・ファン必携の書といえるでしょう。

 また、1993年には現在廃盤になっている『ジョアン・ジルベルトの伝説』が東芝EMIから発売され、ここでもう決定的に僕はボサノヴァから逃れられなくなってしまいました。初期のジョアン・ジルベルトの躍動的なギター、抑制が効きつつも伸びやかなヴォーカルはそれまで聴いたことのない所に僕を連れて行ってくれたのです。この作品はジョアン・ジルベルトのデビューから3作目までのアルバム曲の順番を入れ替え、モノラルの音質を疑似ステレオにしたもので、この編集が問題になって再発することができないみたいですが(ジョアンとレコード会社の係争?)、カタチはどうあれ初期のジョアンの演奏を聴けないのはボサノヴァ初心者にとって不幸なことだと思います。今はネットで検索すれば聴く方法はいくつかあると思うので、ぜひボサノヴァ初心者の方は探して聴いてみて欲しいです。

 以上が、僕がボサノヴァに出会った大まかな経緯ですが、その後さらにずぶずぶとブラジル音楽にのめりこみ現在に至っています。そのあたりを今後も書いて行けたらなと思いますので、よろしくお願いします。もちろんお店にお越しいただけたら、もっと突っ込んでお話いたしますよ!

posted by ベーマイストレス at 13:47| Comment(0) | ブログ