2009年09月25日

秋、大好き〜!

Bar Blen blen blen  宿口 豪 http://www.blenblenblen.jp

秋ですな。
大好きな秋ですよ、一番好きかもしれない。

食欲の秋ですよ。
でもサンマは8月の方が美味いけどな。

スポーツの秋ですよ。
何もしてないや、チャリンコに乗ってるくらいか?

読書の秋ですよ。
今月はまだ税金の本しか読んでないよ、必要に迫られてな(誰か俺に金をくれ)。


ということで、芸術の秋なんです、ハイ。

さあ、ブラジルからの新しい音楽、秋になっていっぱいリリースされてますよ〜。
ラティーナで買いまくりよ。

例えば、コレだ!
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Mart’nalia(マルチナリア)の『Minha Cara』。

90年代にリリースされていた音源の復刻盤だって。
ジャケはまるで香取慎吾だが、中身は極上のメロウ・サンバ集だよ。

とは言ってもNRTからリリースされてる名作『Menino do Rio』のような清々しい洗いざらしのサンバじゃなくて、アーバンな感じよ。

リオ的アーバン感ね、夜の感じ?

例えば、クラブで遊び疲れた深夜3時、ホテルのあるコパカバーナ海岸に向かうタクシーがアトランチカ大通りに入った時に、カー・ラジオからこんな曲がかかったら・・・死んじゃうね、サイコーすぎて。
ああ、死んでしまうとも。

レーベルはビスコイト・フィノ。間違いないでしょ。


そして大本命、Ana Carolinaの『Nove』!
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プロデュースはなんとカシン、マリオ・カルダート、アレ・シケイラ。
コレはヤバい!

ゴタン・プロジェクトを彷彿させるタンゴ・ミーツ・エレクトロニカな楽曲あり、ヴォコーダーや太いホーン・セクションが鳴り響く、カシンのプロデュースが冴え渡るサンバあり、去年リリースされたアルバムがブラジル音楽ファンの間でも話題を呼んだ、エスペランサ・スポルディングが華を添える美しいスロウ・ナンバーありの大充実作よ。

極めつけはジョン・レジェンド(!)とのデュエット!!

スゲーいい曲

死ぬ!ああ、死んでしまう、イイ曲過ぎて〜♪

どういう経緯でこの奇跡のデュオが実現したんだろう、誰か教えてください。

アナ・カロリーナの曲って日本の秋にぴったりなんだよな〜、不思議よね〜。

これからブラジルは夏に向かっていくので、新譜のリリースも加速していきますから、年末前後までは要チェックですね。


さあ、芸術は音楽だけじゃないよ。

映画もヤバイ!

ブラジル映画祭、今年もはーじーまーるーよーー!

東京は10/3〜9、場所は渋谷シアターTSUTAYA、大阪は10/10〜16、場所はシネ・ヌーヴォ。

何といっても目玉は『ミステリー・オブ・サンバ 〜 o misterio do samba』ですよ。
ミステリーと言っても殺人事件とかじゃないよ。

マリーザ・モンチのプロデュースによる、老舗サンバ・チームの長老達にスポットを当てたドキュメンタリー・フィルムなのです。

ざっくり言っちゃうとブラジル版『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』か?

コレはヤバイでしょう!

上映に先立ち、Blenでは中原仁さんによる予習会も開催しますよ〜。
参加すれば映画を何倍も楽しめるはず!


今回は『カルトーラ』も再上映するから、もう全音楽ファン必見だね!

そして!

『ヴィニシウス』に続き、この度「ブラジル映画祭2009」とも「渋谷B+2」はコラボレーションしますぜ。

各店でオリジナル・カクテル「シネマ・ノーヴォ」を用意して皆様をお待ちしておりますよ。

詳細はコチラを見てくんなまし。


そういえば『ヴィニシウス』の時は、個人的にちょっとバタバタしていて映画館には足を運べなかったのですが、8月に大先輩、山名昇さんから電話がかかってきて「ゴウ、今吉祥寺の映画館で『ヴィニシウス』演ってるから観に行こうぜ」という素晴らしいお誘いを頂き(粋な人は誘うタイミング、誘い方までホント粋なのだ)、ようやくスクリーンで堪能できました。

そして、音楽をデカイ音で聴かなきゃいけないように、やっぱり映画はデカイ画面で観ないといかんな〜と思ったのでした。

作り手は大きなスクリーンで鑑賞されることを前提に映像を撮ってるワケだから、然るべき環境じゃないとその作品を観たことにはならないよな〜、なんて。

だから今回は何とか時間作って渋谷シアターTSUTAYAに足を運びます!


さあ、短い秋を大いに堪能いたしましょうね!


posted by ベーマイストレス at 06:53| Comment(0) | ブログ

2009年09月09日

やってみたいお店

http://barbossa.com/index.html bar bossa 林 伸次

 もし「売り上げとか全然気にしなくていいから好きな店やってみて」と言われたら、私は正直、バーはやりません。

 もちろん、バー経営とかバーテンダーの仕事ってすごく面白いんですよ。でも、色々と大変なことがあるんですよ、この仕事。

 で、はじめの話題に戻ると、私は「だったらこんなお店をやりたい」です。

 店の大きさはバール・ボッサを少しだけ小さくしたくらい。店の3分の1が飲食部門で、テーブルが二つとカウンターのみ。メニューは3つだけで、カレーライス(これがメチャクチャおいしい)と、ホット・コーヒーとアイス・コーヒーだけ。紅茶もお酒もありません。

 で、店の3分の1はレコードとCDの販売。新譜も扱うけど、基本的にはブラジルとアメリカの買い付けの中古レコードと中古CD。

 レコードとCDの内容は、昔、15年くらい前、東北沢にあったラストチャンス・レコードが一番近いでしょうか。ブラジルとサントラと静かなジャズ(ヴォーカルもの、ピアノもの、ストリングスもの)と室内楽のクラシックのみのお店でした。ロックなし、ソウルなし、レゲエなし、ブルースなし、バップなし、交響曲なし、です(あの、ロックとソウルが嫌いなわけじゃないですからね。今でもT-REXとかテレヴィジョンが街でかかっているとしびれています)。

 ちなみにこのラストチャンス・レコードで店員じゃないのに自由にカウンターの中に入って高価なブラジル盤をかけてるお兄さんがいて、「あの人羨ましいなあ」と思っていたら、その人が伊藤ゴローさんでした。

 「あれれ、林、今頃レコード?」と思ったあなた。友人のダウンタウン・レコードの土田君もよく言っているのですが、今、結構レコードって売れるんですよ。今続々と各社がレコードを発売しているんですけど、どれもがCDなんかより全然売れているんですよ。

 今、CDしか出ていなかったタイトル、例えばジョアンの「声とギター」的なアルバムをレコードで発売すると結構いけると思いますよ。

 さて、残りの3分の1はもちろん古本コーナーです。本当は新品の本でもいいのですが、出来ればその本を持ってテーブルでコーヒーを飲みながら読んでほしいのです。そう、本は売っているのですが、マンガ喫茶のように自由に読んで良いわけです。

 というわけで、この本は私の好みを反映しつつ、コーヒーを飲みながら読めるような本をセレクトするわけです。

 だから小説は長編ものではなく、短編集を中心に置いています。レイモンド・カーヴァーや芥川龍之介、内田百閨A星新一は短いのばかりだから確定ですね。トルーマン・カポーティ、ガルシア・マルケス、ヘミングウェイ、村上春樹、安部公房も長いのじゃなくて短編集です。夏目漱石はそういう理由で夢十夜とかだけですね。

 短編のみとなると、そうかポール・オースターとトバイアス・ウルフが置けないのが残念です。

 あと、忘れてはいけないカズオ・イシグロ。この人の最新作の短編集「夜想曲集」読みましたか? ただの海外文学好きだけに独り占めさせたくない、「本当の音楽好き」にオススメしたい名作ですね。

 あとエッセイ集もかなりの部分をしめますね。エッセイってお店でコーヒーを飲みながら読むのにぴったりですから…

 エッセイは翻訳家のものが何故か面白いって知っていましたか? 青山南、柴田元幸、岸本 佐知子、この3人は新刊が出ると確実に買う人たちです。中でも青山南の文章は本当に好きで、(誰も気付かないけど)しょっちゅう真似しています。

 最近は時の人って感じの穂村弘のエッセイ集も全部揃えたいですね。この人は「ウジウジねた」が有名ですが、時々すごく本気に「言葉について」書くときが最高なんです。

 詩人のエッセイも良いですよね。長田弘のねこに未来はないは必ず置きたい本ですね。

 そうそう、作品社から出ている日本の名随筆ってご存じですか? これ、名シリーズですよね。実は私の実家にこれが全巻あるので、実家から持ってきてお店に置きたいです。

 あと、そういう場所で自分が読みたい本を考えみたら、結構シリアスなノンフィクションものが読みたいですね。これも短いのを選びたいですが、長くてもOKにします。

 猪瀬直樹ってみなさん意外と未チェックだと思うのですが、すごくロマンティックな人で優れた作品が多いんですよ。ミカドものも面白いのですが、空気と戦争あたりはどうでしょうか。面白いですよ。

 保阪正康も置きたいですね。検証・昭和史の焦点という本があるんですけど、これのトラウトマン工作が面白くって最高! 下手な小説よりよっぽど心が震えます。「歴史にIfはないけれど…」というあれです(すいません、2次大戦史とにかく好きなんです)。

 あと、前世への冒険も必ず置きたい本ですね。これ、おそらく誰もチェックしていない本だと思うのですが、面白いんですよ。

 こういうお店では定番ですが、沢木耕太郎も置くべきですよね。この人の本に出会って人生が狂う若者をもっと増やしたいです。ちなみにこの人、5年くらい前に今は亡き渋谷のブック・ファーストで見かけたんですが、ムチャクチャかっこよかったです。

 さて、マンガは置くべきか? うーん、難しい問題ですね。ここはあえてやめておきます。あ、フジモトマサルだけ置こうかな。

 どうですか? 個人的にはこんなお店があったら本気で通うんですが…

 あ、お店の宣伝です。またボッサ・レコード更新しています。前回、すごく好評で問い合わせも多かったので、頑張って更新続けます。よろしくお願いします。

 ええと、さらにお店の宣伝です。bar bossaはシルヴァー・ウイークでしたっけ。その間も全部営業いたします。日曜日もやりますよ。是非、ご来店下さい。
posted by ベーマイストレス at 15:02| Comment(0) | ブログ

2009年09月03日

アストラッド・ジルベルトの謎

barquinho ヒガシノリュウイチロウ http://barquinho.biz/

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 今回は少しアストラッド・ジルベルトのことを…。アストラッドって、多くの人がボサノヴァを意識し、聴き始める入り口にいるアーティストなのではないでしょうか。実際僕も若い時にアルバイトしていた喫茶店にあったレコードで初めて聴いて興味を持ち、ベスト盤を買って聴きこんだくちです。でも、人は何故ボサノヴァやブラジル音楽にのめりこんでいくと、アストラッドを聴かなくなっていくのでしょう。アメリカで活躍したから?ブラジルで人気が無いから?英語で歌うから?作品を重ねるごとにブラジルっぽくなくなったから?いまいち本人にアーティスティックなポリシーを感じられないから? まあ、どれも僕が勝手に想像で書いているわけですけど、当たらずといえども遠からずというところではないかな。熱心なブラジル音楽ファンのあいだでは「アストラッド好き」って言うのさえ憚られる空気さえ感じられたりします。

 そんなアストラッドへのいわれのない偏見を覆すべく思い切って書いてしまいますが、僕はアストラッド・ジルベルトのファースト・アルバム『The Astrud Gilberto Album』をボサノヴァの最高傑作のひとつと考えています。とは言うものの僕が単にひとりで叫んでいるだけで、全く何の権威も無いわけだし、ボサノヴァの秀逸なアルバムは他にも沢山あるのはわかりますが、とりあえずボサノヴァファンにもう一度アストラッド・ジルベルトを聴いてもらうためにもそう言い切ってしまいましょう。

 『The Astrud Gilberto Album』は日本盤で『おいしい水』というタイトルで出ていて現在まで何度も再発されているので入手は困難ではないと思います。さて、何故このアルバムをボサノヴァの最高傑作と考えるかというと、まず第一に選曲のわかりやすさです。このアルバムはドリヴァル・カイミの「アンド・ローゼズ・アンド・ローゼズ」の1曲を除き全てアントニオ・カルロス・ジョビンの作品で、スタンダード・ナンバーを多く含み、さらにジョビン自信もギターとヴォーカルで参加しています。演奏面ではさらにピアノにジョアン・ドナートが参加しているのも聴き所ですし、マーティ・ペイチのオーケストラ・アレンジも過不足無く心地良い。そしてなんと言っても素晴らしいのはアストラッドの歌声。『ゲッツ/ジルベルト』の「イパネマの娘」と「コルコヴァード」の延長線上にある初々しい歌声を全編で聴かせてくれます。このアルバムの企画は当然、シングル盤「イパネマの娘」の大ヒットを受けてのものなので、プロデューサーであるクリード・テイラーの気合いも相当なものだったのではないでしょうか。おすすめの1曲はアルバム最後の「All That's Left Is to Say Goodbye」。この曲はポルトガル語の「É Preciso Dizer Adeus」の方が有名かもしれませんが、アストラッドのヴァージョンは他のものよりリズムが軽やかで全く別の曲のよう。聴き比べてみるのも面白いと思いますよ。

 こういう仮定をするのは不毛とは思いますがあえて言うと、もしアストラッド・ジルベルトがいなかったら、こんなにも世界にボサノヴァは浸透しなかったと思うのです。アントニオ・カルロス・ジョビンの良さ、ジョアン・ジルベルトの良さは音楽的にマニアックな嗜好の人にうける性質のもので、『ゲッツ/ジルベルト』にしてもアストラッドのヴォーカルが入っていなければ、大ヒットは難しかったでしょう。そう、あの「イパネマの娘」はアストラッドの歌声があったから世界的に大ヒットしたと思うのです。以前あるボサノヴァのTVドキュメンタリー番組で名ベーシスト、セバスチァン・ネットが、『ゲッツ/ジルベルト』録音時のアストラッドのヴォーカルを「ひどかった、最悪だった」としきりにこきおろしていましたが、何故そこまで言うのか不思議でなりませんでした。だって、アストラッドのヴォーカルが魅力的だったからこそ、プロデューサーのクリード・テイラーはシングル盤「イパネマの娘」をアストラッドのヴォーカルのみを残して(ジョアン・ジルベルトを削除して)リリースし、それがマニア以外の一般の音楽ファンに受け入れられたのですから。

 アストラッドのヴォーカルの最大の魅力は「拙さと大人っぽさの絶妙なブレンド」でしょうか。歌を巧く聴かせる要素である声量、抑揚、ビブラートはどれも無いに等しいのに声質が大人っぽくクールなので、クロディーヌ・ロンジェやジェーン・バーキンのようなささやき系ロリータ・テイストになっていないところや、高音部の不安定さが儚い感じを醸し出しているところなどは、偶然とも思えるけどそれも一種の実力。そしてこれは特筆すべきところだけど、ちゃんとブラジルのリズム感を持っているところもポイントが高いですね。

 近年になってボサノヴァ初期の音源がネット上に流れ出し、今まで絶対に聴くことができないと思っていた貴重な演奏が続々と聴けるようになったのですが、1960年5月に行われた建築大学でのボサノヴァ・コンサートの記録もそのひとつ。なんとこのコンサートのトリにジョアン・ジルベルトがアストラッド・ジルベルトといっしょに出演しているのです。注目すべきは当時のアストラッドの歌声。これが、「イパネマの娘」やそれ以降の歌声と全く違う堂々としたものなのですね。当時のシルヴィア・テリスの唱法をまねている感じでしょうか。つまりまだサンバ・カンサォンの香りが残る歌声なのです。この演奏から「イパネマの娘」まで4年の歳月があるのですが、どういう経緯でアストラッドのヴォーカルが変化を遂げたのかが謎です。だって、1960年の時点では、上手いとは思うけどありがちな歌声なのです。もしジョアンが「イパネマの娘」で聴かれるような唱法に導いたとするならば、なぜこの時点で同じ歌い方をしていないのでしょう。きっと、人前で歌うまでにジョアンとかなりの量のリハーサルをしていたはずだし、ジョアンの歌声もいやというほど聴いていたはずなので、ジョアンの指導ではないような気がするのです。それではジョビン? クリード・テイラー? それともアストラッド自信が自分で編みだした唱法なのでしょうか? この疑問に対する答えが書かれた文献や話を聞いた事が無いので、どなたか答えを知っていたらお教えください。お店でワイワイこれについて議論するのも楽しいかもしれませんね。
posted by ベーマイストレス at 00:24| Comment(0) | ブログ