2009年11月10日

関西人の視点と、カルロス・アギーレのことと、良い夫婦の日のパーティのこと(ちょっと長過ぎ)

  http://barbossa.com/ bar bossa 林 伸次

 妻に言わせると、私は「女性のことをよくわかっているように見せて、本当のところは全然わかっていない奴」なのだそうです。

 実際、今までの人生の中で「友人として親しくしていた女性」に突然「おもいっきり無視、絶交状態」になったことが3回あります。妻にそのことを言ったら「わかるなあ」ということでした。

 そんな私ですから、バーテンダーとして接客していて、女性のお客様を泣かせてしまったことが今までに3回あります(ゴウさんと東野さんは絶対にこんな失敗は犯していないと思います…)。

 1回目はこんな感じでした。いつもお一人で来るかなり綺麗な女性がいました。年の頃は30代前半という感じだったでしょうか。その方は綺麗なのに何故か良い恋愛に恵まれずいつも「良い出会い」を求めていました。そんな彼女がある日私にこんなことを言いました。「最近、うちの母親が『お見合いしないか』って言うんですよ。林さん、どう思います?」

 さて、質問です。みなさんならここでどう答えますか? 私はこう答えてしまいました。「ああ、お見合いですか。あれってなかなか面白い制度ですよね。昔の日本は実はお見合い結婚がほとんどだったんですよね。それはそれなりに日本の良い制度だと思いますよ。お見合い、良いじゃないですか。軽い気持ちで試してみたらどうですか?」

 って、軽い気持ちで言ったら、彼女、カウンターで泣き出しちゃったんです。「ええ〜、止めてほしかったの? そんなわかんないっすよ!」ですよね。

 2回目はこんな感じでした。あの、私、お付き合いが長いカップルに「お二人は結婚しないんですか?」と訊ねるのをライフワークとしているんですね。そういう誰かが背中をポンと押す作業ってしなきゃいけないと思っているんです。で、バーはお酒の席なので、そういうのもありかな、と思うんです。

 さて、いつもお二人で来店する、もちろん恋人達だとわかっているカップルが来ました。最近はお二人と冗談話しもするし、そろそろ言ってみようかなと思ってこう言いました。「お二人は、結婚とかそろそろ考えてはいないんですか?」

 すると、女性の方が突然泣き出しちゃったんです。「あ、ごめんなさい…、あの、あの」と私がオロオロしていると、女性がこう答えました。「私の方こそすいません。いや実は今ちょうど別れ話をしてたんです…」

 ええと、これは完全に私の失敗でした。ごめんなさいです。

 3回目はこんな感じでした。バール・ボッサ開店当時からの常連のお客様である田仲さんが新しい恋人である千春さんと来店しました。

 さて、千春さんは最近神戸から上京してきたばかりだったので、おもいっきり関西弁だったんですね。でも彼女は大きくて真っ黒な瞳が印象的で小柄で線の細い可愛い女性なんです。お仕事も子供服のデザイナーをされていて、雰囲気的にもクウネルのモデルとして出てきそうな感じなんです。

 で、私は彼女にこう言ってしまったんです。「あの、関西弁はやめて早く標準語にした方が良いと思いますよ。というのは東京の人達って、関西弁の人はお笑いの人みたいに面白いことを言う人とか、あるいはケチでガサツな人っていうイメージを持っているんですよ。でも千春さんはそんなイメージからは遠いタイプの女性なんで標準語の方が無難ですよ」。

 はい。で、その後、彼女が泣いちゃったんです。

 でも思うんですけど、「東京で関西弁をしゃべる人」に対して多くの人達が「お笑いの人」とか「ケチでガサツな人」というイメージを持っていますよね。この東京の人の感覚が偏見だというのはもちろん私もわかっています。関西に住んでいる人はほとんどが関西弁をしゃべり、その中には全然面白くない人もいれば、とてもお上品でスマートな人もいるのはもちろんなんですよね。

 もちろん東京人も「関西人にも色々ある」というのは理解しているはずなんです。でも、偏見とはわかりつつも関西人を軽蔑しているわけなんです。

 さて、私は四国の徳島という場所で生まれて育ちました。徳島はテレビは関西エリアのものを見ていますし、お好み焼きや笑いのセンスも含め、おもいっきり関西文化圏なんですね。だから私が徳島の言葉をしゃべれば東京の人は「あ、この人、関西弁だ」と感じるはずなんです。

 しかし、大阪や神戸の人からすると、徳島の関西弁はすごく訛っているように聞こえるわけです。ちょうど、群馬の人が関西に行くと「標準語の人」と思われるけど、東京から見ると群馬の人は「訛っているな」と感じるのと同じ関係なんです。

 だから私は関西文化圏で育って「関西人的メンタリティ」は理解できつつも、東京で関西弁は絶対に喋りたくないなという気持ちがとても強いんです。わかりますかね、この感じ。ちょっと違うかもしれないのですが、NYで生活している在日韓国人があんまり日本語を使いたくないような感覚と言えばいいのでしょうか。

 まあそういうわけで、私は関西文化というものに対してとても微妙な感情を持っているんですね。

 しかし、先日、ミーツ・リージョナルの別冊である「東京通本」という雑誌を手に入れて、「もしかしてこの現在の東京のイヤーな感じを救ってくれるのは関西人的感覚かも」と思ってしまったんです。

 この雑誌はただひたすら「関西人が見たところの東京の街の魅力」というのを紹介しているんですね。で、その切り取り方がいかにも関西人という切り口で、江古田とか武蔵小山とか野方とか幡ヶ谷とか、もう普通はないでしょ、というような街ばかりを紹介しているわけです。

 で、そんな街の魅力的なお店をどんどん紹介しているわけなんですが、その紹介の仕方がなんだかとても愛にあふれているんです。

 あの、例えば東京の雑誌がレトロ系の喫茶店を紹介したら「なんか昭和な感じが落ち着くよね〜。ゆるゆる〜最高〜」って感じですよね。あるいは変なメニューばっかりがある個性的なおじさんがやっている食堂なんかが紹介されたりすると「街の不思議おじさん発見(笑)」といった感じでしょうか。わかりますか、なんかこう上から目線なんですよ、東京の雑誌は。

 しかし、この雑誌の関西人の視点はとても愛があるんです。あ、ほんとにこの街とこのお店とこの人が好きなんだなと伝わってくるんです。

 まあ私が指摘するまでもなく、最近はインターネットというものが後押しして「全国民評論家時代」ですよね。それらの多くがなんだか「上から目線」でイヤだなってずっと思っていたんです。

 あのですね、私も友達と「あの作品は駄作だね」とか「あの店は不味いよ」とかは普通に言ったりするんですけど、公の場では発表しないんですよね。

 バール・ボッサにもよく来ていただいている豊崎由美さんが「誰かの作品を批判するときは、その人の作品を全部読んでいる必要がある」と言ってたそうなんですね。それ、わかるんです。批判するって結構責任重大なんですよね。例えば、日本料理を全く食べたことない外人に「●●というお店で刺身定食を食べたけどおいしくなかった」と言われると「?}じゃないですか。でも、在日20年で日本語もペラペラで毎週のように一人あたり2万円の和食を食べている外人なら批判しても納得ですよね。

 なんて言うんでしょうか。何かの作品やお店を批判するにはそれなりの責任が必要だと思うんですね。でも、なんかちょっと最近それがずれてきているように感じているんです。そしてインターネットの場合はそれを匿名でやるというのがさらに「?」なんですよね。

 そんな「なんかイヤーな感じ」をこの雑誌は吹き飛ばしてくれるんです。

 小田実の「オモニ太平記」という名著があるのはご存じですか? あ、小田実の愛のある視点は関西人ならではだったんだな、と再確認したところです。

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 先日、カルロス・アギーレのことをブログで書いてから色んな人たちに「いや実は僕もカルロス・アギーレ大好きで」と言われています。あ、Vila Kitocoさん、吉本さん、CD−Rありがとうございました。

 カルロス・アギーレすごいです。誰に聞かせても「すごい!」と言います。この間はイースト・ワークスとイントキシケイトの高見さんがいる時にカルロス・アギーレをかけました。高見さん、相当酔っぱらっていたのですが、「林さん、これ誰? すごく良いんだけど」と言いました。その後、高見さんは30分くらい眠ってしまって、目を覚ました後、また「林さん、これ誰? すごく良いんだけど」と言ったんです。その時、横にはコンボピアノの渡辺琢磨さんがいたのですが、「林さん、高見さんがこんなにいうことめったにないですよ。これ、絶対にいけますよ」と言ってくれました。あ、高見さんは中島ノブユキを世に出した「日本のクリード・テイラー」と呼ばれている人です。

 カルロス・アギーレ、もうすごすぎて、ちょっとコラム書いてみました。興味ある方はどうぞです。

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 11月22日の良い夫婦の日のパーティ、まだ空きはあります。結婚している人ももちろん参加できますので。山本のりこさんの演奏、すごく良いですよ。目の前で見れるのなんてめったにないですよ。あと基本的には飲み放題ですしカイピリーニャやモヒートもありますので、「飲みたい!」という人もどうぞです。
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2009年11月05日

太陽、塩、南 〜 ホベルト・メネスカル

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barquinho ヒガシノリュウイチロウ http://barquinho.biz/

 「いかにしてボサノヴァ/ブラジル音楽にたどりついたか」シリーズ、まだまだ続けます。今回は弊店barquinhoの元ネタであるボサ・スタンダード曲「O Barquinho」の作曲者ホベルト・メネスカルについて。

 ボサノヴァを聴き始めた頃アントニオ・カルロス・ジョビンは別格として、「この曲はお洒落なコード進行だな」と思う曲はほとんどがホベルト・メネスカルかマルコス・ヴァーリ作曲のものでした。そして彼ら二人の代表曲の多くはリオ・デ・ジャネイロの夏を歌ったもので、いわゆる「太陽、塩、南」路線と言われるものだったのです。(「太陽、塩、南」はメネスカルと作詞のホナルド・ボスコリの曲「Rio」に出てくる歌詞。メネスカルはボスコリと多くの名曲を作っています。)僕はいまだにボサノヴァの中でもこの路線の曲が一番好きで、ヴィニシウス・ヂ・モライスの哲学的な世界と同じくらいに、「太陽、塩、南」の青春路線は普遍的なものだと思っています。ちなみにこの路線をジャケット、収録曲、アレンジ、歌声全てでパーフェクトに表現しているアルバムはワンダ・サーの『ヴァガメンチ』でしょう。そう、このアルバムのタイトル曲「ヴァガメンチ」はメネスカル&ボスコリの曲ですし、アルバムのプロデュース自体がホベルト・メネスカルなのです。

 メネスカル&ボスコリは「O Barquinho」「Rio」「Vagamente」の他にも「Ah!, se eu pudesse」「A morte de um deus de sal」「Telefone」「Tete」「Voce」など多くの曲を作っているので、ボサノヴァのアルバム、コンピレーションCD等で知らず知らずのうちにそのメロディが無意識に耳に残っているはず。メネスカルはボサノヴァ時代以降もギタリスト、プロデューサーとして重要なアルバムに参加し、ブラジル・フィリップス社の重役まで務めていました。有名なところではエリス・レジーナの全盛期のアルバム『コモ・イ・ポルケ』や『イン・ロンドン』でギターを弾き、アレンジもしていますし、ナラ・レオンの晩年のボサノヴァ期の多くのアルバムもメネスカルとの共演で実現したものといえます。

 と、ここまでメネスカル氏の功績について書いてきましたが、近年の活動はちょっと「あれ?」という部分無きにしもあらずというのが正直なところ。彼とカルロス・リラによる映画『ディス・イズ・ボサノヴァ』については、ボサノヴァ発生時のエピソードは楽しいし、リオの雰囲気を行った事のない人に味わってもらうには良い映画と思いますが「むむ。この人選はどうかな?」的な部分も否めません。ご自身のレーベルで多数制作している「○○をボサノヴァ的にアレンジしてみましたコンピ」等についてもなんだかなぁという気が…。でも、昨年来日された時に会いに行って「バルキーニョという店をオープンしましたのでサインちょーだい!」と言ったらちゃんと快く書いてくれたし、まーいいか(笑)。

 そうそう、先日バルキーニョで中村善郎さんのライヴがありましたが、その時ちょっとおもしろいエピソードをお聞きしました。なんでも以前メネスカル氏が来日した時に、中村さんがメネスカル氏の前で「O Barquinho」を歌ったところ「いいねぇ。それはいったい誰の曲だ?」と言ったそう。その瞬間横にいたレイラ・ピニェイロが大爆笑していたらしいのですが、まんざら冗談のような雰囲気でも無かったらしいです。中村さんは「よっぽど僕の演奏が悪かったのかなぁ。そんなことは無いとは思うのだけど」とおっしゃっていましたが、まさかそんなわけないですよね。なんかその適当な感じが憎めないし、やっぱりホベルト・メネスカルの曲が無かったら確実にボサノヴァは何割か魅力が減じていたと思うのです。
posted by ベーマイストレス at 16:42| Comment(0) | ブログ

2009年11月04日

11月8日はcomigo!

comigo.jpg
11月8日に日本のブラジル音楽人が大集合!!
詳しくはこちらへ!
posted by ベーマイストレス at 14:53| Comment(0) | ブログ

2009年11月01日

ちょり〜んス

Bar Blen blen blen 宿口豪 http://www.blenblenblen.jp

ブーラーズィゥ!ブーラーズィゥ!

毎日目まぐるしく楽しすぎてパソコン見る暇がありましぇ〜ん、ちょり〜んス。

「ちょり〜んス」ってこないだ吉祥寺で外国人に教わったんですけど、すごく流行ったけどもう古いらしいっすね。

最近全くTV見ないので全然知らなかったッス、ちょり〜んス。

すいません。

さて、告知させてください!

久々にソウル・ミュージックをかけ倒すパーティーでDJやりまっす!

橋本徹さん、山下洋さん、CHINTAMさんというマチガイないメンバーです。ヤバいっしょ?

その名も「Soul Souvenirs」。

このイベントのキッカケになったエピソードはコチラ!

もともと音楽にハマるキッカケを僕に与えてくれたのがソウル・ミュージック。
実はヒップホップ以前にソウルだったんですよ。

そして僕にその魅力を教えてくれた十数年来の大先輩方と今回肩を並べてDJさせて頂くワケですが、少々おこがましいかな〜なんて謙遜しつつ、大好きな曲をガンガンかけ倒そうと思っています!

ということで11/6(金)は1:00閉店とさせて頂きますのでよろしくお願いいたします。

今からワクワクしちゃうな〜、皆様のご来場をおまちしてまーす!

以下詳細です!


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Soul Souvenirs

11/6(金) 22:00〜5:00
CASE#00001(03-5456-2522)

DJ :橋本徹(Cafe Apres-Midi)  山下洋(Freedom Suite/Wack Wack Rhythm Band)   CHINTAM(Blow Up Record) 宿口豪(Bar Blen blen blen)

入場無料

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