2009年12月10日

天気予報

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barquinho ヒガシノリュウイチロウ http://barquinho.biz/

 先月ホベルト・メネスカルについて書いた時にちらっと触れましたが、今月はそろそろマルコス・ヴァーリについて書いてみようかな。正直、マルコス・ヴァーリは好きな作品が多すぎて何から書いたらいいかとても難しいのですが、やっぱり大好きなアルバム『プレヴィザォン・ド・テンポ』を中心に書いてみましょう。
 マルコス・ヴァーリの曲はボサノヴァを聴いていれば、必ず耳にしているはずで、僕もボサノヴァを聴き始めたばかりのころから大好きでした。ほんとにおしゃれな曲ばかり書くアーティストだなぁと思っていたし、歌声もジョアン・ジルベルトや、アントニオ・カルロス・ジョビンに比べるとポップで聴きやすかった。これは主に彼の初期の2枚や、アメリカ向けの『Samba68』のイメージですね。
 さて、僕がボサノヴァを聴き始めた頃はCDで入手できるマルコスのアルバムは限られていたので、それ以降のマルコスのアルバムで聴くことができたのはボンバからリリースされていた1981年の『ヴォンターヂ・ヂ・ヘヴェール・ヴォセ』くらいでした。このアルバムはマーヴィン・ゲイの『アイ・ウォント・ユー』の実質的作者リオン・ウエアやシカゴが参加したメロウ・ソウル・テイストのアルバムで、初めて聴いた時、初期の作品とのギャップに少し違和感があったことを覚えています。(『アイ・ウォント・ユー』は大好きだったのですが、当時はマルコスにボサノヴァを期待しすぎていたのですね)
 そしてその後少ししてからブラジルで再発されていたマルコスの『ムスタンギ・コル・ヂ・サンギ』『ガーハ』そして『プレヴィザォン・ド・テンポ』の3枚組ボックスを聴いた時には、『ヴォンターヂ・ヂ・ヘヴェール・ヴォセ』とは違う独特のサウンドに驚愕しました。特に『プレヴィザォン・ド・テンポ』に…。巷では「水中クンバカ・ジャケ」と呼ばれているこのアルバム。(呼ばれてないか?!…)そのジャケ写の奇妙さと同じくらいに内容もぶっとんでいて、これを聴かずにマルコスを語っていたということは『サージェント・ペパーズ』を聴かずにビートルズを語っていたようなものじゃないかと思うくらいに衝撃的なアルバムだったのです。
 なにがカッコいいって、アルバム全体を流れる70年代初期的なアナログサウンドが最高にカッコいいんです。そう、このアルバムが発表された1973年といえば、スティーヴィー・ワンダーが傑作『インナーヴィジョンズ』を発表した年。『プレヴィザォン・ド・テンポ』は『インナーヴィジョンズ』に呼応するようなエクスペリメンタルな響きで満ちています。特に12曲中9曲でバックを務めるアジムスのジョゼ・ホベルト・ベルトラミが弾くアープ・シンセサイザーとハモンド・オルガンのサウンドが秀逸。マルコス自身が弾くローズも気持ちいい!楽器の音質についてはこの時代だけに偶然作り得たものかもしれないけれど、その偶然さえもがこのアルバムを特別なものにしていると言えるでしょう。もちろんセンスのよいフレージングあってのものですが。
 ああ、好きなアルバムを語って止まらなくなってきたので、勢いで全曲解説を書いてしまいます。

1「フラメンゴ・アテ・モヘール」
リオの名門サッカークラブ“フラメンゴ”を讚えた応援歌。バックを務めるのはヴィニシウス・カントゥアリアが在籍したロック・グループ、オ・テルソ。ハモンド・オルガンとクイーカが同居するエレクリック・サンバ。ラフな女性コーラス隊も雰囲気を盛り上げます。

2「ネン・パリトー、ネン・グラヴァッタ」
どことなく「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」のポールのパートを連想させるロックナンバー。ベルトラミのシンセがうなりはじめる。

3「チーラ・ア・マォン」
グニョグニョしたシンセと反復するリズムが脳髄をマッサージするようなサイケデリックなナンバー。ジャケ写の世界を表現しているよう。

4「メンチーラ」
ワウワウギターとホーン・セクションが心地よいファンキーなこの曲はクラブでも大人気。アジムスのタイトなリズムセクションにも注目。

5「プレヴィザォン・ド・テンポ」
アルバムタイトル曲であるインストゥルメンタル。意味は「天気予報」。悲しげなオーケストレーションに絡むゆれるエレピ、泣きのシンセが渋い。

6「マイス・ド・キ・ヴァルサ」
ファルセットのマルコスが歌う正統的なワルツ。しかし、そこにからむスペーシーなアープが普通の曲にはしておかない。どんどんこのアルバムのディープな世界に連れてゆかれる不思議な曲。

7「オス・オッソス・ド・バラォン」
ヴァルテル・ブランコがオーケストラを指揮する、アルバム中では最も正統的なポップナンバー。

8「ナォン・テン・ナーダ・ナォン」
デオダート、ジョアン・ドナートとの共作。ミディアム・テンポのファンキーなナンバー。1974年のタンバ・トリオの通称『ブラック・タンバ』でカヴァーされています。(このアルバムも『プレヴィザォン・ド・テンポ』と同様のムードを持った素晴らしい作品)

9「ナォン・テン・ナーダ・ナォン」
8のリプリーズ・インストゥルメンタル。シンセ・ソロがカッコいい。

10「サンバ・ファタル」
オ・テルソがバッキングを務めるマイナー・エレクトリック・サンバ。ディストーション・ギターが登場。

11「チウ・バ・ラ・キエバ」
言葉遊びのような淡々とした曲。美しいラスト前に置かれた小品の趣。

12「ヂ・ヘペンチ・モサ・フロール」
マルコスはファースト・アルバム『サンバ・ヂマイス』でドゥルヴァル・フェヘイラの「モサ・フロール」を歌っていますが、この「ヂ・ヘペンチ・モサ・フロール」はその続編のような曲でしょうか。とにかく“はかなげ”で美しく永遠に聴いていたい衝動に駆られます。エレピのバッキングと印象的なベース・サウンドが曲をひっぱり、時折ギターが少しだけアルペジオを添えるシンプルなバッキング。テンション・コードが美しいエレピのソロ、そしてフェイド・アウトするウネウネシンセがリスナーを天国に連れていく神曲でアルバムを終えます。

ということで『プレヴィザォン・ド・テンポ』を聴いた事無い人は絶対聴いてくださいね。もちろんリクエストがあればバルキーニョでもお聴かせいたします!
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2009年12月01日

今年も豊作、いい音楽

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Bar Blen blen blen 宿口豪 http://www.blenblenblen.jp

寒いよ!

てか今年は暖冬ですって、よかった。

今年も残すところあと1ヶ月。’00年代も終わりですね、早ぇーな、全く。

こないだ21世紀に突入したばっかりと思ってたらもう2010年ですよ。
キューブリックが想像した2001年の世界はまだまだ当分先ですね。
藤子不二雄の方がよっぽど冷静に時代を読んでいたのかもしれねーな。

さて、そんなことはさておき、皆さん今年もCDいろいろ買いましたか?

僕は買いましたよ、ええ。

ブラジル盤のCDはまあ毎年ある程度の量は買っているワケでして。
今年は国内盤のリリースも少なく、「ブラジルもの少ないジャーン?」みたいな声を多く聞いたのですが、実は結構リリースされていたんですよ、ビックリすることに。

ラティーナClaro新宿ディスク・ユニオンスパイラル大洋レコードによく顔を出す人はご存知でしょうが。

案外いい作品多かったんスよ。

ということで、その私的ランキングは12/20(日)発売の月刊ラティーナ1月号に掲載して頂ける予定なので是非チェックしてくださいネ!

そして同日のJ-WAVE ” Saude!Saudade…”もよくチェックだぜ。

そう、2009年ブラジル・ディスク大賞の結果発表なのですね。
今年の1位はなんだろな。うーん、気になる。

さてブラジルものもよかったが、他も案外よかったぞ。

今年も僕は結果的にエレクトリックな音の12インチ・シングルを中心にいっぱい買いましたが、やっぱりいいモノ多かったな。

何がと言うと〜、う〜ん、どれもタイトルとアーティスト名が出てこない。。。なんだそりゃ。。。
スゲーかっこいいものがいっぱいあったんだけど、「コレ!」って名前が出てこないなあ。

なんか21世紀に入ってからそんなことばかりだ、僕は。

例えば、90年代は「トライブやべー!」とか「ロニ・サイズ超やべー」とかガツンとくる「今年の一発!」的なものがあったような気がするのだが。

自分も寄稿させて頂いた『クラブ・ミュージック名盤400』においても、「99年までのものはほとんど知ってるけど、それ以降のものはあまり知らないものが多い」って人が意外と多かったしな。

そういう時代になったのか、はたまた単純に自分が年をとっているからなのか。

まあどっちでもいいや。

相変わらずカッコイイ音源がリリースされ続けているコトだけは事実なのだ。

そしてまたバー・カウンター内がレコードに侵食されて、チカちゃんに「どうにかして!」とか言われたり、ゆーこちゃんにジャケをスコーンと蹴っ飛ばされたりしながらも、懲りずに明日もレコード屋へ向かうワケです、ハイ。


皆もCDやレコード買おうよ。
コピーばっかしてたらホントに音楽なくなっちゃうよ、知らないよ。


さて、音楽は時に奇跡的な何かを僕に返してくれる。


この間ド暇だった11月のある日の出来事。

お客さんが常連さん1人しかいなくて、リクエストによりエレクトリック音楽をガンガンかけ倒していたのですよ。

12インチをバンバン繋いで1時間半くらいお祭り騒ぎ、たった3人で。(普段はブラジル音楽をかけてるんですよ、念のため)

MIXするのも疲れてきたから、僕の大好きなロンドンの某テクノ系アーティストのMIX-CDでもかけようと思ってCDをセットしたら、その直後に店のドアが開き、なんとご本人登場(笑)。

ウソみたいだよな〜。

ちなみに彼は「エリス・レジーナ、オネガイシマス!」、「ジョルジ・ベン、オネガイシマス!」みたいな感じでテンションが上がっていき、後半はゲイリー・バーツで踊ってた。

楽しかったなあ。
これだからバーはやめられませんよ。

“Music is my sanctuary”なのダ。
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2009年11月10日

関西人の視点と、カルロス・アギーレのことと、良い夫婦の日のパーティのこと(ちょっと長過ぎ)

  http://barbossa.com/ bar bossa 林 伸次

 妻に言わせると、私は「女性のことをよくわかっているように見せて、本当のところは全然わかっていない奴」なのだそうです。

 実際、今までの人生の中で「友人として親しくしていた女性」に突然「おもいっきり無視、絶交状態」になったことが3回あります。妻にそのことを言ったら「わかるなあ」ということでした。

 そんな私ですから、バーテンダーとして接客していて、女性のお客様を泣かせてしまったことが今までに3回あります(ゴウさんと東野さんは絶対にこんな失敗は犯していないと思います…)。

 1回目はこんな感じでした。いつもお一人で来るかなり綺麗な女性がいました。年の頃は30代前半という感じだったでしょうか。その方は綺麗なのに何故か良い恋愛に恵まれずいつも「良い出会い」を求めていました。そんな彼女がある日私にこんなことを言いました。「最近、うちの母親が『お見合いしないか』って言うんですよ。林さん、どう思います?」

 さて、質問です。みなさんならここでどう答えますか? 私はこう答えてしまいました。「ああ、お見合いですか。あれってなかなか面白い制度ですよね。昔の日本は実はお見合い結婚がほとんどだったんですよね。それはそれなりに日本の良い制度だと思いますよ。お見合い、良いじゃないですか。軽い気持ちで試してみたらどうですか?」

 って、軽い気持ちで言ったら、彼女、カウンターで泣き出しちゃったんです。「ええ〜、止めてほしかったの? そんなわかんないっすよ!」ですよね。

 2回目はこんな感じでした。あの、私、お付き合いが長いカップルに「お二人は結婚しないんですか?」と訊ねるのをライフワークとしているんですね。そういう誰かが背中をポンと押す作業ってしなきゃいけないと思っているんです。で、バーはお酒の席なので、そういうのもありかな、と思うんです。

 さて、いつもお二人で来店する、もちろん恋人達だとわかっているカップルが来ました。最近はお二人と冗談話しもするし、そろそろ言ってみようかなと思ってこう言いました。「お二人は、結婚とかそろそろ考えてはいないんですか?」

 すると、女性の方が突然泣き出しちゃったんです。「あ、ごめんなさい…、あの、あの」と私がオロオロしていると、女性がこう答えました。「私の方こそすいません。いや実は今ちょうど別れ話をしてたんです…」

 ええと、これは完全に私の失敗でした。ごめんなさいです。

 3回目はこんな感じでした。バール・ボッサ開店当時からの常連のお客様である田仲さんが新しい恋人である千春さんと来店しました。

 さて、千春さんは最近神戸から上京してきたばかりだったので、おもいっきり関西弁だったんですね。でも彼女は大きくて真っ黒な瞳が印象的で小柄で線の細い可愛い女性なんです。お仕事も子供服のデザイナーをされていて、雰囲気的にもクウネルのモデルとして出てきそうな感じなんです。

 で、私は彼女にこう言ってしまったんです。「あの、関西弁はやめて早く標準語にした方が良いと思いますよ。というのは東京の人達って、関西弁の人はお笑いの人みたいに面白いことを言う人とか、あるいはケチでガサツな人っていうイメージを持っているんですよ。でも千春さんはそんなイメージからは遠いタイプの女性なんで標準語の方が無難ですよ」。

 はい。で、その後、彼女が泣いちゃったんです。

 でも思うんですけど、「東京で関西弁をしゃべる人」に対して多くの人達が「お笑いの人」とか「ケチでガサツな人」というイメージを持っていますよね。この東京の人の感覚が偏見だというのはもちろん私もわかっています。関西に住んでいる人はほとんどが関西弁をしゃべり、その中には全然面白くない人もいれば、とてもお上品でスマートな人もいるのはもちろんなんですよね。

 もちろん東京人も「関西人にも色々ある」というのは理解しているはずなんです。でも、偏見とはわかりつつも関西人を軽蔑しているわけなんです。

 さて、私は四国の徳島という場所で生まれて育ちました。徳島はテレビは関西エリアのものを見ていますし、お好み焼きや笑いのセンスも含め、おもいっきり関西文化圏なんですね。だから私が徳島の言葉をしゃべれば東京の人は「あ、この人、関西弁だ」と感じるはずなんです。

 しかし、大阪や神戸の人からすると、徳島の関西弁はすごく訛っているように聞こえるわけです。ちょうど、群馬の人が関西に行くと「標準語の人」と思われるけど、東京から見ると群馬の人は「訛っているな」と感じるのと同じ関係なんです。

 だから私は関西文化圏で育って「関西人的メンタリティ」は理解できつつも、東京で関西弁は絶対に喋りたくないなという気持ちがとても強いんです。わかりますかね、この感じ。ちょっと違うかもしれないのですが、NYで生活している在日韓国人があんまり日本語を使いたくないような感覚と言えばいいのでしょうか。

 まあそういうわけで、私は関西文化というものに対してとても微妙な感情を持っているんですね。

 しかし、先日、ミーツ・リージョナルの別冊である「東京通本」という雑誌を手に入れて、「もしかしてこの現在の東京のイヤーな感じを救ってくれるのは関西人的感覚かも」と思ってしまったんです。

 この雑誌はただひたすら「関西人が見たところの東京の街の魅力」というのを紹介しているんですね。で、その切り取り方がいかにも関西人という切り口で、江古田とか武蔵小山とか野方とか幡ヶ谷とか、もう普通はないでしょ、というような街ばかりを紹介しているわけです。

 で、そんな街の魅力的なお店をどんどん紹介しているわけなんですが、その紹介の仕方がなんだかとても愛にあふれているんです。

 あの、例えば東京の雑誌がレトロ系の喫茶店を紹介したら「なんか昭和な感じが落ち着くよね〜。ゆるゆる〜最高〜」って感じですよね。あるいは変なメニューばっかりがある個性的なおじさんがやっている食堂なんかが紹介されたりすると「街の不思議おじさん発見(笑)」といった感じでしょうか。わかりますか、なんかこう上から目線なんですよ、東京の雑誌は。

 しかし、この雑誌の関西人の視点はとても愛があるんです。あ、ほんとにこの街とこのお店とこの人が好きなんだなと伝わってくるんです。

 まあ私が指摘するまでもなく、最近はインターネットというものが後押しして「全国民評論家時代」ですよね。それらの多くがなんだか「上から目線」でイヤだなってずっと思っていたんです。

 あのですね、私も友達と「あの作品は駄作だね」とか「あの店は不味いよ」とかは普通に言ったりするんですけど、公の場では発表しないんですよね。

 バール・ボッサにもよく来ていただいている豊崎由美さんが「誰かの作品を批判するときは、その人の作品を全部読んでいる必要がある」と言ってたそうなんですね。それ、わかるんです。批判するって結構責任重大なんですよね。例えば、日本料理を全く食べたことない外人に「●●というお店で刺身定食を食べたけどおいしくなかった」と言われると「?}じゃないですか。でも、在日20年で日本語もペラペラで毎週のように一人あたり2万円の和食を食べている外人なら批判しても納得ですよね。

 なんて言うんでしょうか。何かの作品やお店を批判するにはそれなりの責任が必要だと思うんですね。でも、なんかちょっと最近それがずれてきているように感じているんです。そしてインターネットの場合はそれを匿名でやるというのがさらに「?」なんですよね。

 そんな「なんかイヤーな感じ」をこの雑誌は吹き飛ばしてくれるんです。

 小田実の「オモニ太平記」という名著があるのはご存じですか? あ、小田実の愛のある視点は関西人ならではだったんだな、と再確認したところです。

           ●

 先日、カルロス・アギーレのことをブログで書いてから色んな人たちに「いや実は僕もカルロス・アギーレ大好きで」と言われています。あ、Vila Kitocoさん、吉本さん、CD−Rありがとうございました。

 カルロス・アギーレすごいです。誰に聞かせても「すごい!」と言います。この間はイースト・ワークスとイントキシケイトの高見さんがいる時にカルロス・アギーレをかけました。高見さん、相当酔っぱらっていたのですが、「林さん、これ誰? すごく良いんだけど」と言いました。その後、高見さんは30分くらい眠ってしまって、目を覚ました後、また「林さん、これ誰? すごく良いんだけど」と言ったんです。その時、横にはコンボピアノの渡辺琢磨さんがいたのですが、「林さん、高見さんがこんなにいうことめったにないですよ。これ、絶対にいけますよ」と言ってくれました。あ、高見さんは中島ノブユキを世に出した「日本のクリード・テイラー」と呼ばれている人です。

 カルロス・アギーレ、もうすごすぎて、ちょっとコラム書いてみました。興味ある方はどうぞです。

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 11月22日の良い夫婦の日のパーティ、まだ空きはあります。結婚している人ももちろん参加できますので。山本のりこさんの演奏、すごく良いですよ。目の前で見れるのなんてめったにないですよ。あと基本的には飲み放題ですしカイピリーニャやモヒートもありますので、「飲みたい!」という人もどうぞです。
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2009年11月05日

太陽、塩、南 〜 ホベルト・メネスカル

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barquinho ヒガシノリュウイチロウ http://barquinho.biz/

 「いかにしてボサノヴァ/ブラジル音楽にたどりついたか」シリーズ、まだまだ続けます。今回は弊店barquinhoの元ネタであるボサ・スタンダード曲「O Barquinho」の作曲者ホベルト・メネスカルについて。

 ボサノヴァを聴き始めた頃アントニオ・カルロス・ジョビンは別格として、「この曲はお洒落なコード進行だな」と思う曲はほとんどがホベルト・メネスカルかマルコス・ヴァーリ作曲のものでした。そして彼ら二人の代表曲の多くはリオ・デ・ジャネイロの夏を歌ったもので、いわゆる「太陽、塩、南」路線と言われるものだったのです。(「太陽、塩、南」はメネスカルと作詞のホナルド・ボスコリの曲「Rio」に出てくる歌詞。メネスカルはボスコリと多くの名曲を作っています。)僕はいまだにボサノヴァの中でもこの路線の曲が一番好きで、ヴィニシウス・ヂ・モライスの哲学的な世界と同じくらいに、「太陽、塩、南」の青春路線は普遍的なものだと思っています。ちなみにこの路線をジャケット、収録曲、アレンジ、歌声全てでパーフェクトに表現しているアルバムはワンダ・サーの『ヴァガメンチ』でしょう。そう、このアルバムのタイトル曲「ヴァガメンチ」はメネスカル&ボスコリの曲ですし、アルバムのプロデュース自体がホベルト・メネスカルなのです。

 メネスカル&ボスコリは「O Barquinho」「Rio」「Vagamente」の他にも「Ah!, se eu pudesse」「A morte de um deus de sal」「Telefone」「Tete」「Voce」など多くの曲を作っているので、ボサノヴァのアルバム、コンピレーションCD等で知らず知らずのうちにそのメロディが無意識に耳に残っているはず。メネスカルはボサノヴァ時代以降もギタリスト、プロデューサーとして重要なアルバムに参加し、ブラジル・フィリップス社の重役まで務めていました。有名なところではエリス・レジーナの全盛期のアルバム『コモ・イ・ポルケ』や『イン・ロンドン』でギターを弾き、アレンジもしていますし、ナラ・レオンの晩年のボサノヴァ期の多くのアルバムもメネスカルとの共演で実現したものといえます。

 と、ここまでメネスカル氏の功績について書いてきましたが、近年の活動はちょっと「あれ?」という部分無きにしもあらずというのが正直なところ。彼とカルロス・リラによる映画『ディス・イズ・ボサノヴァ』については、ボサノヴァ発生時のエピソードは楽しいし、リオの雰囲気を行った事のない人に味わってもらうには良い映画と思いますが「むむ。この人選はどうかな?」的な部分も否めません。ご自身のレーベルで多数制作している「○○をボサノヴァ的にアレンジしてみましたコンピ」等についてもなんだかなぁという気が…。でも、昨年来日された時に会いに行って「バルキーニョという店をオープンしましたのでサインちょーだい!」と言ったらちゃんと快く書いてくれたし、まーいいか(笑)。

 そうそう、先日バルキーニョで中村善郎さんのライヴがありましたが、その時ちょっとおもしろいエピソードをお聞きしました。なんでも以前メネスカル氏が来日した時に、中村さんがメネスカル氏の前で「O Barquinho」を歌ったところ「いいねぇ。それはいったい誰の曲だ?」と言ったそう。その瞬間横にいたレイラ・ピニェイロが大爆笑していたらしいのですが、まんざら冗談のような雰囲気でも無かったらしいです。中村さんは「よっぽど僕の演奏が悪かったのかなぁ。そんなことは無いとは思うのだけど」とおっしゃっていましたが、まさかそんなわけないですよね。なんかその適当な感じが憎めないし、やっぱりホベルト・メネスカルの曲が無かったら確実にボサノヴァは何割か魅力が減じていたと思うのです。
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2009年11月04日

11月8日はcomigo!

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11月8日に日本のブラジル音楽人が大集合!!
詳しくはこちらへ!
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2009年11月01日

ちょり〜んス

Bar Blen blen blen 宿口豪 http://www.blenblenblen.jp

ブーラーズィゥ!ブーラーズィゥ!

毎日目まぐるしく楽しすぎてパソコン見る暇がありましぇ〜ん、ちょり〜んス。

「ちょり〜んス」ってこないだ吉祥寺で外国人に教わったんですけど、すごく流行ったけどもう古いらしいっすね。

最近全くTV見ないので全然知らなかったッス、ちょり〜んス。

すいません。

さて、告知させてください!

久々にソウル・ミュージックをかけ倒すパーティーでDJやりまっす!

橋本徹さん、山下洋さん、CHINTAMさんというマチガイないメンバーです。ヤバいっしょ?

その名も「Soul Souvenirs」。

このイベントのキッカケになったエピソードはコチラ!

もともと音楽にハマるキッカケを僕に与えてくれたのがソウル・ミュージック。
実はヒップホップ以前にソウルだったんですよ。

そして僕にその魅力を教えてくれた十数年来の大先輩方と今回肩を並べてDJさせて頂くワケですが、少々おこがましいかな〜なんて謙遜しつつ、大好きな曲をガンガンかけ倒そうと思っています!

ということで11/6(金)は1:00閉店とさせて頂きますのでよろしくお願いいたします。

今からワクワクしちゃうな〜、皆様のご来場をおまちしてまーす!

以下詳細です!


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Soul Souvenirs

11/6(金) 22:00〜5:00
CASE#00001(03-5456-2522)

DJ :橋本徹(Cafe Apres-Midi)  山下洋(Freedom Suite/Wack Wack Rhythm Band)   CHINTAM(Blow Up Record) 宿口豪(Bar Blen blen blen)

入場無料

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2009年10月10日

黒田恭一さんのこと、良い夫婦の日のパーティ

 bar bossa 林 伸次 http://barbossa.com

 黒田恭一さんが亡くなって4ヶ月になります。
 黒田さんは生前、バール・ボッサによく来店されていたので、その思い出を少し書いてみます。

 黒田さんが初めて私に声をかけてくれた言葉を今でもはっきりと覚えています。10年近く前のことなのですが、私がユニヴァーサルの「トム・ジ・ボッサ」というボサノヴァのCDのライナーを書いたことがありました。黒田さんはそれを読んでくれたみたいで、「あの文章を書いたのはあなたですか? あなたの文章は素晴らしいですね。あなたは文章を書く仕事をもっとやった方がいいですよ」と言っていただけたんです。

 「うわー、こんな大先生にこんな風にほめられるなんて」と私はとても嬉しかったのですが、黒田さんはその後がすごいんです。

 文化村の偉い人とか、出版社の偉い人とかを連れてきて(黒田さんと一緒に飲むくらいの人だからみんなすごく偉い人ばかりなんです)、その出版社とかの偉い人に「ほら名刺を出して出して」と催促して、「この林さんの文章、すごく良いから、ボサノヴァのことで何かあったらこの人に頼んで下さい」なんて言ってくれるんです。

 私はもちろん恐縮しっぱなしだったのですが(まだ20代でした)、なんか黒田さん、すごい人だと思いませんか?

 それでとにかくバール・ボッサのことも気に入ってくれたみたいで、仕事上の付き合いの人だけではなく、奥様や学生時代の友人とかも毎週のように連れて来店していただけるようになりました。

 黒田さんの思い出といえば、こういうこともありました。

 みなさんご存じのように、バール・ボッサのオーディオ装置って全然お金をかけていない、全く素人なものなんですね。で、オープン当初からお客様に「オーディオ、もっと良いのにした方がいいんじゃない?」とずっと言われ続けてきたんです。

 しかし、私はいわゆる「機械モノ」に全く興味がなく、車とかPCとか時計とかそういう男の子っぽいものに対して全く興味が持てないんです。「いやー、オーディオに50万円かけるんなら50万円分のレコードを買いたいなあ」なんて思うタイプなんです。
 
 →あのー、ごめんなさい。そういう「機械モノ」に興味がある人を否定しているわけじゃないんですよ。それはそれで立派な趣味だと思うんです。本当に。でも自分はどうも違う人種なんです。基本的に何かに病的にこだわっている人はすごく好きです。

 さてある日のこと、カウンターに座った二人組のお客様がこう話しているのを耳にしてしまったんです。「いやー、このお店の音、ひどいね」「(この店主は)たぶん良い音っていうのを聞いたことないんだよ」。どうですか? なかなか傷つく言葉ですよね。

 で、もしかしてわかっていないのは私だけで、お客様のほとんどが「ひどい音だなあ、不快だなあ」と思っているのかもしれない、と考え始めたのです。だとしたらお店にとってマイナスです。

 さて、黒田さんはオーディオもとても詳しい方として有名です。ですからこれは黒田さんに相談して、もし可能ならオーディオに関するアドヴァイスを受けたり、そういう業者を紹介してもらおうかなと思ったわけです。

 黒田さんが来店したときにこう言ってみました。「あのー、黒田さん、うちのオーディオの音ってどう思いますか?」「え? 良いんじゃないんですか」と黒田さんが驚いた顔で答えました。そこで私は「いや、お客様に『音が良くないからオーディオを変えろ』ってよく言われるんですよ」と言ってみました。すると黒田さんはちょっと怒ったような表情になって「そんなことをいう人は、このボッサさんのお客じゃないですよ。そんな言葉は無視しておけばいいんじゃないですか」って言ってくれました。

 これも黒田さんらしい言葉だと思いませんか?

 さてさて、ここからはいつもの私の文章のパターンなのですが、ちょっと重苦しくなります。

 私は以前、ヴィニシズモ(※)というフリーペーパーを作っていたことがありました。メンバーは伊藤ゴロー、サンクの保里正人、ヤンググループの土信田有宏、そして今は亡き伊藤愛子(ヲノサトルさんの奥様でボサノヴァ・オンラインの伊藤達之さんの実妹です)という今では考えられないメンバーでした。

 そのフリーペーパーで、「次号はクラシック特集にしよう」と決まりました(もちろんゴローさんのアイディアです)。そして、その企画の目玉は「ヴィニシズモが黒田恭一に会いに行く(Vinicismo visita Kurokyo)」というもので、要するにみんなで黒田さんに会いに行ってクラシックの面白さを教えてもらおうという企画だったわけです。

 私は黒田さんの名刺を持っていたので、黒田さんに手紙を書くことになりました。「実はこういうフリーペーパーをやっておりまして、次回はクラシック特集になりました。そこで是非、黒田さんに登場してもらってクラシックの魅力を語っていただけないでしょうか。そこで実は言いにくいのですが、ちょっと資金不足でして黒田さんにギャラが払えません。出世払いというのでどうでしょうか」という文章をもっと丁寧に書いて、投函しました。

 私は黒田さんからの連絡を今か今かと待っていたのですが、いつまでたっても返事は来ません。さらに、何ヶ月待っても黒田さん本人がバール・ボッサに来なくなったのです。それまでは2週間に一度くらいの割合で来てたんですよ…

 結局、黒田さんは2度とバール・ボッサには来てくれませんでした。私はいつか、黒田さんに何かのかたちでお会いして、あの時の非礼を謝ろうとずっと言葉を考えていました。しかし、その言葉は伝えられないままでした。

 今考えてみると、黒田さんの気持ちがすごくよくわかります。黒田さんはどの組織にも所属しないで、たった一人で文章を書くという仕事で生活をしていたんです。そしてバール・ボッサにはお客として、ちゃんとお金を支払って通ってくれていたわけです。黒田さんが文章を書くのがビジネスであれば、私がお店でお酒を出してお金をもらうのもビジネスです。そこに「仲が良いんだからタダでお願い」という甘えは許されなかったんです。

 これはフリーでやっていく人には「絶対に譲れないところ」なんです。

 中原仁さんという人がいます。中原さん本人もこのブログを読んでくれているので、ちょっと持ち上げているようで本人もそういうことを嫌がるのはわかるのですが、ちょっと書かせて下さい。

 この中原仁さんも黒田さんと同じようなスタンスをとっていて、いつも「ああ自分もマネしなきゃな」と思うことがあります。

 中原さんが企画したイベントがあるとします。そのイベントのフライヤー、私は郵便で送ってもらってもいっこうに構わないのですが、中原さんは必ずお客様として飲みに来て、ちゃんとお金を支払って、そして帰りに「これイベントのフライヤーなんですけど置いてもらえますか?」とおもむろに取り出す訳なんです。

 中原さんは、自分がやっていること(ビジネス)と私がやっているお店(ビジネス)との関係性をあやふやにしないようにしているんです。

 中原さんが何杯か飲んで、最後に、メガネに手をやりながら「そういえば林さん」とフライヤーの束をあの大きい鞄から出すとき、いつも私は黒田さんへの失礼な手紙のことを思い出して後悔してしまいます。

 黒田さんに天国で再会できたとき、うまく謝れればいいのですが…


 ※ヴィニシズモという言葉はもちろん造語で「ヴィニシウス主義=ヴィニシウスみたいに酒と女と文学と音楽を愛するような人生を送ろうぜ」という意味です。ハーバードを出た言語学専門のブラジル人にも「すごくかっこいい響き!」と絶賛された言葉です。いつでも再開する気持ちはありますので、興味のある人は声をかけて下さい。


 さてさて、お店の宣伝です。

 11月22日にバール・ボッサで小さいパーティを開きます。毎年恒例の南仏大岡さんのヌーヴォーと、ちょっとしたおつまみと、山本のりこさんのボサノヴァ・ライブです。

 色んな出会いがあればと思います。あ、男子独身者が少ないのでよろしくです。

 詳しくはこちらへ
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2009年10月03日

バーデン・パウエル

barquinho ヒガシノリュウイチロウ http://barquinho.biz/

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 このところ「いかにしてボサノヴァ/ブラジル音楽にたどりついたか」というテーマで書いていますが、今回はバーデン・パウエルでいきます。とはいうもののバーデンは日本の、いや世界のブラジル系ギタリストの中では圧倒的人気がある人なので僕なんかが紹介できることはとても限られているのですが。

 例によって個人的な思い出から始めます。以前ジョアン・ジルベルトのことを書いた時、1992年くらいからボサノヴァに本格的にのめりこんだと書きましたが、同時に弾き語りを学べる楽譜が無いかなと楽器屋に行って入手したのがギタリスト江部賢一さん著による『ボサノバ・ギター・ソロ・テクニック』というものでした。この当時は今のようにボサノヴァの弾き語りを主体とした楽譜は全く無くて、この本もバーデン・パウエル系のソロ・ギター譜でした。結局目的が違うこともあって、最後まで1曲もまともにソロ・ギターの曲を弾けることはありませんでしたが、巻頭に載っているそれまで弾いた事が無かったテンションコードのダイアグラムや、ボサノヴァ・バチーダのリズムパターン譜には大変参考になりました。10年前に東京に引っ越して来た頃、友人の紹介で江部賢一さんにお会いしたことがありますが、とても優しい感じの方で、無理やりお願いして「イパネマの娘」を弾いていただいたのを覚えていますが、バーデン・パウエル系の素晴らしい演奏でした。

 さて、楽譜だけではいまいちよくイメージできないので、また楽器屋でうろうろしていると今度はギタリスト佐藤正美さんが制作された『ボサ・ノヴァ・ギター』という教則ビデオが見つかりました。これまた練習曲がバーデン・パウエル系の「イパネマの娘」で、挑戦してみましたがテーマの部分までで挫折。結局弾き語りをマスターするには自分でコピーするしかないのかと、ジョアン・ジルベルトのCDを聴きまくって、耳コピーする日々が始まりました。

 というように当時日本でボサノヴァ・ギターというとバーデン・パウエルから逃れることは出来ない状況で、ジョアン・ジルベルト的弾き語りの教材が揃ってきたのは最近のことだと思います。しかも昨今はYouTube等でジョアンはおろかありとあらゆるブラジルのアーティストの演奏が観られるし、僕が始めた頃から考えると夢のような状況ですね。

 そうそう、これも紹介し忘れてはいけないのですがピエール・バルーが制作した『サラヴァ』という映画でもバーデン・パウエルは重要な役割を担っていました。これはフランス人ピエール・バルーが1969年にブラジルに旅して、様々なミュージシャンに会いにいくというドキュメンタリーですが、ここでピシンギーニャなどの重鎮との橋渡しをしているのがバーデン・パウエルなんですね。もちろん若き日のバーデンの貴重な演奏シーンも満載なので、ブラジル音楽ファンは必見といえる作品です。このビデオもブラジル音楽に出会った頃すり切れるくらい繰り返し観たものでした。

 かようにここ日本でブラジル音楽を聴いたり、ギターを弾いたりする上でバーデン・パウエルに全く触れずにいることは難しいともいえるのですが、個人的には彼の作品にスポットを当てると「あれ?」と思うことが少なくないです。もちろん全ての作品を聴いているわけではないのでなんとも言えないけれど、彼はギターを弾く事が目的で、あんまり録音に興味無かったのではと思ってしまいます。ものすごい鬼気迫る演奏のあとに、気の抜けるような本人のヴォーカルが入ってきたり、ナチュラルで聴きたいギターにすっごいきついディレイをかけてみたりと、ちょっと自己プロデュース的センスが無いのかなと…。あと、バーデンの作風はいわゆるカフェ的な響きとは最も遠いところにある作風で、とてもプリミティヴな雰囲気を持っていますね。実際バルキーニョでかけることはまれだったりしますが、個人的にはやはり天才だと思いますし、ワン・アンド・オンリーの存在だと思います。

 最後にバーデンのおすすめ作品をひとつあげるとするならば、やはりエレンコからリリースされた『ア・ヴォンターヂ』でしょう。1曲目に世界のギタリストに衝撃を与えた「イパネマの娘」が入っていますし、「ビリンバウ」「宇宙飛行士」「コンソラサォン」「サンバ・トリスチ」などの彼の作曲による代表曲も多く収録されているので、バーデンのというよりもボサノヴァの名盤の1枚だと思います。



 さて、本日からいよいよ『ブラジル映画祭2009』が始まりますね。映画を観に渋谷に来られた際にはぜひB+2各店へ。映画祭にちなんだオリジナルカクテルを用意してお待ちしております!あと、リオ・デ・ジャネイロ、オリンピック開催地決定おめでとう!
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2009年09月25日

秋、大好き〜!

Bar Blen blen blen  宿口 豪 http://www.blenblenblen.jp

秋ですな。
大好きな秋ですよ、一番好きかもしれない。

食欲の秋ですよ。
でもサンマは8月の方が美味いけどな。

スポーツの秋ですよ。
何もしてないや、チャリンコに乗ってるくらいか?

読書の秋ですよ。
今月はまだ税金の本しか読んでないよ、必要に迫られてな(誰か俺に金をくれ)。


ということで、芸術の秋なんです、ハイ。

さあ、ブラジルからの新しい音楽、秋になっていっぱいリリースされてますよ〜。
ラティーナで買いまくりよ。

例えば、コレだ!
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Mart’nalia(マルチナリア)の『Minha Cara』。

90年代にリリースされていた音源の復刻盤だって。
ジャケはまるで香取慎吾だが、中身は極上のメロウ・サンバ集だよ。

とは言ってもNRTからリリースされてる名作『Menino do Rio』のような清々しい洗いざらしのサンバじゃなくて、アーバンな感じよ。

リオ的アーバン感ね、夜の感じ?

例えば、クラブで遊び疲れた深夜3時、ホテルのあるコパカバーナ海岸に向かうタクシーがアトランチカ大通りに入った時に、カー・ラジオからこんな曲がかかったら・・・死んじゃうね、サイコーすぎて。
ああ、死んでしまうとも。

レーベルはビスコイト・フィノ。間違いないでしょ。


そして大本命、Ana Carolinaの『Nove』!
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プロデュースはなんとカシン、マリオ・カルダート、アレ・シケイラ。
コレはヤバい!

ゴタン・プロジェクトを彷彿させるタンゴ・ミーツ・エレクトロニカな楽曲あり、ヴォコーダーや太いホーン・セクションが鳴り響く、カシンのプロデュースが冴え渡るサンバあり、去年リリースされたアルバムがブラジル音楽ファンの間でも話題を呼んだ、エスペランサ・スポルディングが華を添える美しいスロウ・ナンバーありの大充実作よ。

極めつけはジョン・レジェンド(!)とのデュエット!!

スゲーいい曲

死ぬ!ああ、死んでしまう、イイ曲過ぎて〜♪

どういう経緯でこの奇跡のデュオが実現したんだろう、誰か教えてください。

アナ・カロリーナの曲って日本の秋にぴったりなんだよな〜、不思議よね〜。

これからブラジルは夏に向かっていくので、新譜のリリースも加速していきますから、年末前後までは要チェックですね。


さあ、芸術は音楽だけじゃないよ。

映画もヤバイ!

ブラジル映画祭、今年もはーじーまーるーよーー!

東京は10/3〜9、場所は渋谷シアターTSUTAYA、大阪は10/10〜16、場所はシネ・ヌーヴォ。

何といっても目玉は『ミステリー・オブ・サンバ 〜 o misterio do samba』ですよ。
ミステリーと言っても殺人事件とかじゃないよ。

マリーザ・モンチのプロデュースによる、老舗サンバ・チームの長老達にスポットを当てたドキュメンタリー・フィルムなのです。

ざっくり言っちゃうとブラジル版『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』か?

コレはヤバイでしょう!

上映に先立ち、Blenでは中原仁さんによる予習会も開催しますよ〜。
参加すれば映画を何倍も楽しめるはず!


今回は『カルトーラ』も再上映するから、もう全音楽ファン必見だね!

そして!

『ヴィニシウス』に続き、この度「ブラジル映画祭2009」とも「渋谷B+2」はコラボレーションしますぜ。

各店でオリジナル・カクテル「シネマ・ノーヴォ」を用意して皆様をお待ちしておりますよ。

詳細はコチラを見てくんなまし。


そういえば『ヴィニシウス』の時は、個人的にちょっとバタバタしていて映画館には足を運べなかったのですが、8月に大先輩、山名昇さんから電話がかかってきて「ゴウ、今吉祥寺の映画館で『ヴィニシウス』演ってるから観に行こうぜ」という素晴らしいお誘いを頂き(粋な人は誘うタイミング、誘い方までホント粋なのだ)、ようやくスクリーンで堪能できました。

そして、音楽をデカイ音で聴かなきゃいけないように、やっぱり映画はデカイ画面で観ないといかんな〜と思ったのでした。

作り手は大きなスクリーンで鑑賞されることを前提に映像を撮ってるワケだから、然るべき環境じゃないとその作品を観たことにはならないよな〜、なんて。

だから今回は何とか時間作って渋谷シアターTSUTAYAに足を運びます!


さあ、短い秋を大いに堪能いたしましょうね!


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2009年09月09日

やってみたいお店

http://barbossa.com/index.html bar bossa 林 伸次

 もし「売り上げとか全然気にしなくていいから好きな店やってみて」と言われたら、私は正直、バーはやりません。

 もちろん、バー経営とかバーテンダーの仕事ってすごく面白いんですよ。でも、色々と大変なことがあるんですよ、この仕事。

 で、はじめの話題に戻ると、私は「だったらこんなお店をやりたい」です。

 店の大きさはバール・ボッサを少しだけ小さくしたくらい。店の3分の1が飲食部門で、テーブルが二つとカウンターのみ。メニューは3つだけで、カレーライス(これがメチャクチャおいしい)と、ホット・コーヒーとアイス・コーヒーだけ。紅茶もお酒もありません。

 で、店の3分の1はレコードとCDの販売。新譜も扱うけど、基本的にはブラジルとアメリカの買い付けの中古レコードと中古CD。

 レコードとCDの内容は、昔、15年くらい前、東北沢にあったラストチャンス・レコードが一番近いでしょうか。ブラジルとサントラと静かなジャズ(ヴォーカルもの、ピアノもの、ストリングスもの)と室内楽のクラシックのみのお店でした。ロックなし、ソウルなし、レゲエなし、ブルースなし、バップなし、交響曲なし、です(あの、ロックとソウルが嫌いなわけじゃないですからね。今でもT-REXとかテレヴィジョンが街でかかっているとしびれています)。

 ちなみにこのラストチャンス・レコードで店員じゃないのに自由にカウンターの中に入って高価なブラジル盤をかけてるお兄さんがいて、「あの人羨ましいなあ」と思っていたら、その人が伊藤ゴローさんでした。

 「あれれ、林、今頃レコード?」と思ったあなた。友人のダウンタウン・レコードの土田君もよく言っているのですが、今、結構レコードって売れるんですよ。今続々と各社がレコードを発売しているんですけど、どれもがCDなんかより全然売れているんですよ。

 今、CDしか出ていなかったタイトル、例えばジョアンの「声とギター」的なアルバムをレコードで発売すると結構いけると思いますよ。

 さて、残りの3分の1はもちろん古本コーナーです。本当は新品の本でもいいのですが、出来ればその本を持ってテーブルでコーヒーを飲みながら読んでほしいのです。そう、本は売っているのですが、マンガ喫茶のように自由に読んで良いわけです。

 というわけで、この本は私の好みを反映しつつ、コーヒーを飲みながら読めるような本をセレクトするわけです。

 だから小説は長編ものではなく、短編集を中心に置いています。レイモンド・カーヴァーや芥川龍之介、内田百閨A星新一は短いのばかりだから確定ですね。トルーマン・カポーティ、ガルシア・マルケス、ヘミングウェイ、村上春樹、安部公房も長いのじゃなくて短編集です。夏目漱石はそういう理由で夢十夜とかだけですね。

 短編のみとなると、そうかポール・オースターとトバイアス・ウルフが置けないのが残念です。

 あと、忘れてはいけないカズオ・イシグロ。この人の最新作の短編集「夜想曲集」読みましたか? ただの海外文学好きだけに独り占めさせたくない、「本当の音楽好き」にオススメしたい名作ですね。

 あとエッセイ集もかなりの部分をしめますね。エッセイってお店でコーヒーを飲みながら読むのにぴったりですから…

 エッセイは翻訳家のものが何故か面白いって知っていましたか? 青山南、柴田元幸、岸本 佐知子、この3人は新刊が出ると確実に買う人たちです。中でも青山南の文章は本当に好きで、(誰も気付かないけど)しょっちゅう真似しています。

 最近は時の人って感じの穂村弘のエッセイ集も全部揃えたいですね。この人は「ウジウジねた」が有名ですが、時々すごく本気に「言葉について」書くときが最高なんです。

 詩人のエッセイも良いですよね。長田弘のねこに未来はないは必ず置きたい本ですね。

 そうそう、作品社から出ている日本の名随筆ってご存じですか? これ、名シリーズですよね。実は私の実家にこれが全巻あるので、実家から持ってきてお店に置きたいです。

 あと、そういう場所で自分が読みたい本を考えみたら、結構シリアスなノンフィクションものが読みたいですね。これも短いのを選びたいですが、長くてもOKにします。

 猪瀬直樹ってみなさん意外と未チェックだと思うのですが、すごくロマンティックな人で優れた作品が多いんですよ。ミカドものも面白いのですが、空気と戦争あたりはどうでしょうか。面白いですよ。

 保阪正康も置きたいですね。検証・昭和史の焦点という本があるんですけど、これのトラウトマン工作が面白くって最高! 下手な小説よりよっぽど心が震えます。「歴史にIfはないけれど…」というあれです(すいません、2次大戦史とにかく好きなんです)。

 あと、前世への冒険も必ず置きたい本ですね。これ、おそらく誰もチェックしていない本だと思うのですが、面白いんですよ。

 こういうお店では定番ですが、沢木耕太郎も置くべきですよね。この人の本に出会って人生が狂う若者をもっと増やしたいです。ちなみにこの人、5年くらい前に今は亡き渋谷のブック・ファーストで見かけたんですが、ムチャクチャかっこよかったです。

 さて、マンガは置くべきか? うーん、難しい問題ですね。ここはあえてやめておきます。あ、フジモトマサルだけ置こうかな。

 どうですか? 個人的にはこんなお店があったら本気で通うんですが…

 あ、お店の宣伝です。またボッサ・レコード更新しています。前回、すごく好評で問い合わせも多かったので、頑張って更新続けます。よろしくお願いします。

 ええと、さらにお店の宣伝です。bar bossaはシルヴァー・ウイークでしたっけ。その間も全部営業いたします。日曜日もやりますよ。是非、ご来店下さい。
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2009年09月03日

アストラッド・ジルベルトの謎

barquinho ヒガシノリュウイチロウ http://barquinho.biz/

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 今回は少しアストラッド・ジルベルトのことを…。アストラッドって、多くの人がボサノヴァを意識し、聴き始める入り口にいるアーティストなのではないでしょうか。実際僕も若い時にアルバイトしていた喫茶店にあったレコードで初めて聴いて興味を持ち、ベスト盤を買って聴きこんだくちです。でも、人は何故ボサノヴァやブラジル音楽にのめりこんでいくと、アストラッドを聴かなくなっていくのでしょう。アメリカで活躍したから?ブラジルで人気が無いから?英語で歌うから?作品を重ねるごとにブラジルっぽくなくなったから?いまいち本人にアーティスティックなポリシーを感じられないから? まあ、どれも僕が勝手に想像で書いているわけですけど、当たらずといえども遠からずというところではないかな。熱心なブラジル音楽ファンのあいだでは「アストラッド好き」って言うのさえ憚られる空気さえ感じられたりします。

 そんなアストラッドへのいわれのない偏見を覆すべく思い切って書いてしまいますが、僕はアストラッド・ジルベルトのファースト・アルバム『The Astrud Gilberto Album』をボサノヴァの最高傑作のひとつと考えています。とは言うものの僕が単にひとりで叫んでいるだけで、全く何の権威も無いわけだし、ボサノヴァの秀逸なアルバムは他にも沢山あるのはわかりますが、とりあえずボサノヴァファンにもう一度アストラッド・ジルベルトを聴いてもらうためにもそう言い切ってしまいましょう。

 『The Astrud Gilberto Album』は日本盤で『おいしい水』というタイトルで出ていて現在まで何度も再発されているので入手は困難ではないと思います。さて、何故このアルバムをボサノヴァの最高傑作と考えるかというと、まず第一に選曲のわかりやすさです。このアルバムはドリヴァル・カイミの「アンド・ローゼズ・アンド・ローゼズ」の1曲を除き全てアントニオ・カルロス・ジョビンの作品で、スタンダード・ナンバーを多く含み、さらにジョビン自信もギターとヴォーカルで参加しています。演奏面ではさらにピアノにジョアン・ドナートが参加しているのも聴き所ですし、マーティ・ペイチのオーケストラ・アレンジも過不足無く心地良い。そしてなんと言っても素晴らしいのはアストラッドの歌声。『ゲッツ/ジルベルト』の「イパネマの娘」と「コルコヴァード」の延長線上にある初々しい歌声を全編で聴かせてくれます。このアルバムの企画は当然、シングル盤「イパネマの娘」の大ヒットを受けてのものなので、プロデューサーであるクリード・テイラーの気合いも相当なものだったのではないでしょうか。おすすめの1曲はアルバム最後の「All That's Left Is to Say Goodbye」。この曲はポルトガル語の「É Preciso Dizer Adeus」の方が有名かもしれませんが、アストラッドのヴァージョンは他のものよりリズムが軽やかで全く別の曲のよう。聴き比べてみるのも面白いと思いますよ。

 こういう仮定をするのは不毛とは思いますがあえて言うと、もしアストラッド・ジルベルトがいなかったら、こんなにも世界にボサノヴァは浸透しなかったと思うのです。アントニオ・カルロス・ジョビンの良さ、ジョアン・ジルベルトの良さは音楽的にマニアックな嗜好の人にうける性質のもので、『ゲッツ/ジルベルト』にしてもアストラッドのヴォーカルが入っていなければ、大ヒットは難しかったでしょう。そう、あの「イパネマの娘」はアストラッドの歌声があったから世界的に大ヒットしたと思うのです。以前あるボサノヴァのTVドキュメンタリー番組で名ベーシスト、セバスチァン・ネットが、『ゲッツ/ジルベルト』録音時のアストラッドのヴォーカルを「ひどかった、最悪だった」としきりにこきおろしていましたが、何故そこまで言うのか不思議でなりませんでした。だって、アストラッドのヴォーカルが魅力的だったからこそ、プロデューサーのクリード・テイラーはシングル盤「イパネマの娘」をアストラッドのヴォーカルのみを残して(ジョアン・ジルベルトを削除して)リリースし、それがマニア以外の一般の音楽ファンに受け入れられたのですから。

 アストラッドのヴォーカルの最大の魅力は「拙さと大人っぽさの絶妙なブレンド」でしょうか。歌を巧く聴かせる要素である声量、抑揚、ビブラートはどれも無いに等しいのに声質が大人っぽくクールなので、クロディーヌ・ロンジェやジェーン・バーキンのようなささやき系ロリータ・テイストになっていないところや、高音部の不安定さが儚い感じを醸し出しているところなどは、偶然とも思えるけどそれも一種の実力。そしてこれは特筆すべきところだけど、ちゃんとブラジルのリズム感を持っているところもポイントが高いですね。

 近年になってボサノヴァ初期の音源がネット上に流れ出し、今まで絶対に聴くことができないと思っていた貴重な演奏が続々と聴けるようになったのですが、1960年5月に行われた建築大学でのボサノヴァ・コンサートの記録もそのひとつ。なんとこのコンサートのトリにジョアン・ジルベルトがアストラッド・ジルベルトといっしょに出演しているのです。注目すべきは当時のアストラッドの歌声。これが、「イパネマの娘」やそれ以降の歌声と全く違う堂々としたものなのですね。当時のシルヴィア・テリスの唱法をまねている感じでしょうか。つまりまだサンバ・カンサォンの香りが残る歌声なのです。この演奏から「イパネマの娘」まで4年の歳月があるのですが、どういう経緯でアストラッドのヴォーカルが変化を遂げたのかが謎です。だって、1960年の時点では、上手いとは思うけどありがちな歌声なのです。もしジョアンが「イパネマの娘」で聴かれるような唱法に導いたとするならば、なぜこの時点で同じ歌い方をしていないのでしょう。きっと、人前で歌うまでにジョアンとかなりの量のリハーサルをしていたはずだし、ジョアンの歌声もいやというほど聴いていたはずなので、ジョアンの指導ではないような気がするのです。それではジョビン? クリード・テイラー? それともアストラッド自信が自分で編みだした唱法なのでしょうか? この疑問に対する答えが書かれた文献や話を聞いた事が無いので、どなたか答えを知っていたらお教えください。お店でワイワイこれについて議論するのも楽しいかもしれませんね。
posted by ベーマイストレス at 00:24| Comment(0) | ブログ

2009年08月25日

Shit,Damn,Motherfucker! それでもスーパー・ポジティブ・シンキング 2009

Bar Blen blen blen 宿口 豪 http://www.blenblenblen.jp

厄年じゃないんですけどね。

嫌なことが多過ぎなんですよ、何なのだろう一体。

2月には原チャリで事故りました。完全に自爆でしたが、数日間松葉杖。

5月には水難の相がでました。

シュハスコをやれば大雨で凍えるほど寒い中、危うく川の中洲に取り残されそうになる始末。

まあそれでも100人くらい来てくれましたけどね。


その数日後、店が何故か水浸しに。

ビルの上のテナントさんの工事で不具合が生じて、ポタポタと水漏れしてたんですね。

レコードが水没してたらハッキリ言って数千万円請求しますけど、何も害がなかったのでよかった!と思っていたら、キッチンの高いところにある引き出しにどうやら水が溜まっていたみたいで。

その中のものを取ろうとしたら、
ドリフばりに頭からザバッーといっちゃいました、営業中に。

幸いTシャツの予備があったからすぐに着替えたんですけど。

水も滴るいいバーだねっ!とはバイトのチカちゃんの弁。

まあ、そういうことにしときましたけどね。


夏が始まってからはまあ、コレがひどくてですねぇ。
モノをなくすんですよ。

ある日、店に着いて鍵を取り出そうとしたらポケットにあるはずのそれがないんですよ。

ひょっとして地元の駅に置いてきた原チャリに挿しっぱなしか!ということで、帰宅ラッシュの中、家に向かって逆戻り。

手には冷凍の海老やら野菜やらデカイ荷物がドッサリ、ようやく着いた駅の原チャリに鍵は無事にあったからまだ良かったんだな、この時は。


こないだ実家の群馬県太田市に帰省して、友人が営む居酒屋で同窓会がありました。

懐かしい面々との再会に、順調に酒もすすみます。
そして場所を変えて2次会ということで、自転車に乗りフラフラと目と鼻の先にある居酒屋に到着した瞬間、冷や汗が。

財布がない。

しかも今日に限って数日分の売上がアノ中に。。。
免許証、定期、保険証、カード類、全てアノ中に。。。

金を支払って店を出てからわずか5分の出来事でした。
すぐに来た道を戻り、何往復をするも、影も形も見当たらない。

ご存知の方もいるかと思われますが、太田駅前というのは北関東最大規模の夜の歓楽街なワケですよ。
深夜0時でも割と人通りは多いんだな。

怪しい店がズラッと並んでいるんですね。呼び込みがそこらじゅうで声を掛けているんですよ。

そりゃあ金を拾えば遊び場には困りませんよね。

電話で遺失物届けをした後カード類をすぐに止めて、さっさと家に帰りました。

数日後太田警察より連絡があり、財布が見つかったとのコト。

駅前のドンキホーテの敷地内にて翌日拾われたみたいです。
モチロン現金は全て抜かれていましたが、幸い他のものは全て入っていました。

「全部自分が悪いからしょうがないですね〜」なんて、後日店で中原仁さんに報告していたら、「きっと金に困ったブラジル人が拾って、その金で今頃なんとか今月も生活できたとか言いながら感謝されているんじゃないかな」なんておっしゃられて。なるほど!そうだ!なんて。


まあ、そういうことにしときましたけどね。


そして、またやっちまったよ、ポーハ。

8/23(日)のこと。
この日は逗子海岸にてオモシロ・イベントが同時多発!

まず橋本徹さんのブランニューCD『Mellow Beats Friend&Lovers』のリリースパーティー@音魂。

DJは橋本さん、中村智昭くん、Soil&”Pimp”Sessionの社長、nujabes、DJ Mitsu the Beats、そしてライブがCalmとJ.A.Mという超豪華イベントだったんですよ。

みんな素晴らしいのは当ったり前なのだが、個人的に圧倒的だったのがJ.A.M

以前中村智昭くんが六本木のAlfieで彼らとパーティーを主催していた時に、中村君から「ホントやばいんだよ!」と常々聞かされていたんだけど、ホント凄かった。

ていうか、音楽ってやっぱり素晴らしいな!と心の底から感じ、しばらく言葉にならなかった。

1st収録曲からロイ・エアーズのカバー含め数曲、新曲の「産業革命」(笑)、最後は超高速の「Night in Tunisia」。
圧巻でした。
何より3人の表情がイイ!コレだよ、コレ。
海岸でピアノ・トリオでお客さん盛り上がりまくり、凄くない?

と抽象的にしか未だに表現できないので、コチラをご覧下さい。

橋本さんもとてもいい表情をしてました。R.kellyの「Summer Bunnies」かかったところで僕のテンションも最高潮!
このパーティー、お客さんが皆いい表情してました、グッド・ヴァイブス!!

そして場所をちょっと移動して。

そう、もはやオナジミ、ブラジルの海の家ピレキーニョでぇ〜す。
この日はディモンシュの堀内さん主催のテルサだったのです。

こちらも皆楽しそう。
メンバーもいつものDJ陣にプラスしてゲストは中原仁さんとWillie Whopperさん、そして箱バンのZamba Bemのライブに映画の上映という豪華な内容。

さあ、この辺りから雲行きが怪しくなりますよ〜。

もう楽しすぎてテキーラをボトル買いです。
いい音楽に酒!!最高の組み合わせです。
シャブはダメ、絶対!
(余談ですが、年に一回いつも井の頭線の改札辺りで「ドラッグ撲滅アコースティック・ライブ祭り」とかやってるんですけど、ホントつまらないんですよ。
「シャブ打つぐらいならテキーラ飲もうぜ!アコースティック・ライブ祭り」とかにすればいいのにな〜とか思います。)

テキーラを皆でイェ〜イなんて飲んでいたのですが。。。
さあ、その先の記憶がございません。

僕滅多に記憶なくさないんですけど、前日楽しみすぎて全然寝れなかったんですよ(って34歳のセリフじゃないですね。。。)。

睡眠不足からか、浜辺に倒れて爆睡していたそうです。
(ちなみに2年前にはウチのバイトのチカちゃんが同じ場所に倒れました。そしてバイトのゆうこちゃんは今年のシュハスコで多摩川で倒れました。やっぱり僕は見る目があるのかも。)

最後はモシダーヂ・ヴァガブンダの皆様が僕を担いで持ち帰ってくれたとのコト。
やっちまいました。。。

生まれてすいません。

そして、携帯を失くしてしまったのでした。

恐らく砂浜に埋もれていることでしょう。
完全に自業自得ですね。

でも携帯なんかなくしちゃっても別にいいんですよ。

ただ素晴らしい音楽を聴かせてくれる仲間や先輩方、一緒に笑い合える友達、酔った僕に蹴られたり水掛けられながらも背負ってくれるような友達だけは絶対に失いたくないな〜、なんて。

まあ、そういうことにしときましたけどね。
posted by ベーマイストレス at 17:18| Comment(0) | ブログ

2009年08月21日

Blenにてポルトガル語教室始まります!

Blenのゴウです。

毎週土曜日ブレンの開店前に行われていた、荒井めぐみさんによるポル語教室が双方の都合により終了して早数ヶ月。
ちょっと淋しい土曜日にも慣れかけた今日この頃ですが、ここで朗報!

ブレンの看板バイト、ゆうこちゃんがお客さんからの多数の要望(!)にお答えして、とうとうポルトガル語教室を始めることになりました〜!パチパチパチ〜!

ゆうこちゃんは語学の最高学府・東京外語大ポルトガル語科卒にして、ブラジル滞在歴2年という輝かしい経歴の持ち主。
自身が率いるパーカッション集団BAQUEBAでは毎月ワークショップを開催しており、初心者に物事をイチから教えることは彼女の最も得意とするところなのです。


語学ずっと習ってるのに何で私は喋れないんだろう?って人、いませんか?

ABCからはじめる超初心者クラスながら、彼女が追求するのは実践力。
スグに使える日常会話フレーズを覚えて、酒場で会ったブラジル人とも会話ができるようになりたいと思いませんか?

90分間みっちり集中レッスンが月2回。

興味のある方、まずは体験レッスンから!

以下詳細です!

E AÍ!? BRASIL!!
ポルトガル語入門クラス!!


9月19日(土)スタート!!(初回は体験レッスン!1500円。予約不要です。)

毎月第1・3土曜日
18:00〜19:30

場所 渋谷Bar Blen blen blen 
   渋谷区道玄坂1-17-12 野々ビル2F
   03-3461-6533

料金 月謝6000円 (+1ドリンクオーダー)
   入会金・教材費等はかかりません。

ABCから学ぶ超入門クラスです。
ポルトガル語のしくみや発音などから丁寧に教えていきます。
みんなでわいわいしゃべりながら、すぐに使える日常会話フレーズを楽しく覚えていきましょう。


古尾谷悠子
東京外国語大学ポルトガル語専攻卒業。
在学中に1年間ブラジル・バイーア連邦大学に留学。
卒業後、2度にわたり北東部ペルナンブーコ州を中心に長期滞在。
現在はパーカショニストとして都内で音楽活動中。
CD歌詞対訳ほか、翻訳経験多数。

お申し込み・お問い合わせ
yuco@tamancobuco.com
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2009年08月09日

最近の気になる音楽とか

bar bossa 林 伸次 http://barbossa.com/index.html

 バンドネオン奏者の北村聡
さんに「カルロス・アギーレって知ってますか? 林さん、たぶん好きだと思いますよ」と言われました。

 カルロス・アギーレ…、最近どこかで目にしたような名前だなと思ったのですが、思い出せず、こう答えました。「北村さんのオススメでしたら今度タワーかユニオンに行ったときにでも買ってみますよ」

 すると北村さんが「いやこのアーティスト、自分のインディーズ・レーベルで出しているんで日本ではちょっと入手が難しいんですよ。たまに少しだけ入荷することもあるんですけど、それもすぐ売り切れちゃうんです。今度コピーして持ってきますよ」ということでした。

 で、先日、北村さんからそのカルロス・アギーレのCDRを2枚頂いたのですが(もちろん後でちゃんと正規盤買いますからね)、これがもうすごいことになっているんです。

 で、とにかくどんな人なんだろうと思ってうちに帰って検索してみたら、ひっかかったのが山ブラのディスクガイド大洋レコードでした。なるほど、山ブラで見たのをなんとなく覚えていたんですね。

 北村さんの情報によると(北村さんはアルゼンチンでライブも見ています)、この人は現在の南米の重要音楽家10人にも選ばれている人(音を聴けば当然という気がします)で、ピアニスト、作曲家で、アルゼンチンのコンテンポラリー・フォルクローレ・シーンを代表する人なんだそうです(フォルクローレと言っても『コンドルは飛んでいく』の世界ではなくて、ネオアコあたりが語感的には近いようです)。アルゼンチンの地方の音楽を調べたりする人だそうなので、ちょっとアカデミックよりな人なんでしょうか。

 で、北村さんも山ブラさんも大洋レコードさんも指摘するように、この人の音楽、なんだか「ミナスっぽい」んです。「Violeta」というアルバムなんかすごく「Infinite Love」に印象が似ているんです(インフィニトが空を飛んでいる感じだとしたら、ヴィオレタは海底を漂っている感じという違いはありますが)。「やっぱりこの人、ミナスの音楽とか聴いているんですかね?」と北村さんに聞くと、「たぶん聞いていると思いますよ。アルゼンチン人ってブラジル音楽好きだから」と言ってました。

 このカルロス・アギーレがどこまで意識的にブラジル音楽を取り入れているのかちょっと知りたいところですが、それはまた別の話ですね。

 しかし、こう書いていてつらいのはホント、入手困難だという事実です。今のところ、大洋レコードとラティーナ
くらいしか扱っていないようです。

 そこで、お願いなのですが、誰か勇気ある人、このカルロス・アギーレのレーベルとライセンス契約して日本で正規国内盤として売り出していただけないでしょうか。こういう音楽はやっぱり日本語の解説と対訳がついたもので持ちたいと思うんです。

 蛇足なのですが、HPを見ていただければわかるかと思うのですが、カルロス・アギーレさんが持つ世界観ってとても素敵なんです。私は雲をクリックしたときに雨が降ってきたのには、正直やられてしまいました。ちょっとブラジルにも日本にもない感覚ですよね。

 こんな素晴らしい音楽が日本で入手困難なんてちょっともったいないと思いませんか?

                    ●

 中村心之さん(ハダメス・ニャターリのCDを企画制作した方です)から「林さん、ブラジルのクラシックってすごく面白いんですよ。例えばこんなアルバム知ってます?」と興味深いアルバムを紹介されました。 

 このアルバムはジルソン・ペランツェッタ名義で、クラウヂオ・サントロというクラシック作曲家の「前奏曲集と愛の歌曲集」という作品を演奏したものです。で、前奏曲は基本的にジルソンのソロ・ピアノ(チェロとかが入るのもあります)で、歌曲の方はクワルテート・エン・シーとボカ・リヴリが参加しています。そう男女混声八人コーラスなんです。

 で、このアルバム、もうメランコリックの嵐でたまんないんです。切なくてカウンターの中で倒れ込んでしまうくらいなんです。

 さて、このアルバムを中島ノブユキさんがいる時にさりげなくかけてみました。そしたら中島さん5秒聴いて「ちょっとちょっとこのピアノ誰? 何これ? すごいんだけど!」って言ったんです。「また中島さん?」と思ったあなた、中島ノブユキさんってめったに音楽を誉めたりしないの知ってます? で、こんなに食いついてくるのなんてホントないんです。

 で、これはジルソンやエン・シーの仕事が原因なのではなく、このクラウヂオ・サントロという作曲家がすごいのではと考え始めたのです。


 さて話は変わって、昔、私はWAVEのクラシック売場で働いたことがあったのですが、そこではヴィラ・ロボスってすごく売れる定番商品だったんです。意外ですか?

 ここでクラシックのCDを買う人たちを想像してもらいます。一般的なのはレコード芸術という雑誌を毎月購入して、「フルトヴェングラーの1945年の録音が…」とかって語るタイプです。
 
 しかし、本当に一番多いのは小さい頃からピアノを習っていて、音大に入って今は普通にOLやってますみたいなタイプです。そういう人たちって意外と自由にボサノヴァ買ったり、ジャズ買ったりしながら、クラシックももちろん買っているんです。で、そういう人たちがヴィラ・ロボスを買うんです。

 あと、私は坂本龍一キッズ系と呼んでいるのですが、ドビュッシーやラヴェルから現代音楽なんかを聴くタイプの人たちです。実はこういう人たちもすごくたくさんいて、その人たちは積極的に20世紀以降の全世界のクラシックなんかにすごく興味を持っているんです。

 で、提案なのですが、その人たちに向かって「ブラジルのクラシック」を紹介する本を誰か作ってくれないでしょうか。あるいはもう少し広げて「ラテンアメリカのクラシック」というのもありかもしれないです。キューバとかアルゼンチンのクラシックも面白そうですよね。

 CDも出して下さい。たぶんブラジルにはブラジル人が演奏したブラジル人作曲家のレコードがどっさりと存在するはずです。そのあたりって、宝の山だと思うんですね。

 クラシック好きも動くし、ブラジル音楽好きも動くと思うんですよね。それに興味を示す推定人数は5万人はいます。

 誰かやってくれないかなあ。まずはこのジルソン・ペランツェッタのアルバムあたりから… 

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 さてクラシックつながりで、また雨と休日
の話しです。

 先日、トレフル
というボッサの向かいのお花屋さんでお花を買った(海の日にCayに贈ったあの花です)ら「雨と休日セレクションのCDーR」
を頂きました。これがもうものすごく良いんです。

 クラシックの室内楽曲をまるで3分間のポップ・ミュージック感覚で扱って、ボサノヴァやジャズの静かな曲に混ぜてCDをコンパイルするっていうアイディア、いろんな人がトライしていると思うんですね。でも残念なことにほとんどが失敗しているように私は感じているんです。

 しかしこの「雨と休日セレクションCD−R」はおもいっきり成功しているんです。成功の理由はこう考えます。1.寺田さんがすごくたくさん音楽を聴いている(今ってネットがあるから音楽をたくさん知っている人はいるのですが、ちゃんと聴いている人って逆にいないんですよね) 2.寺田さんの音楽に対する世界観がすごく確立されていて揺らがない 3.センスが良い

 最近はいろんな人が雨と休日の話しをしています。いずれ「雨と休日系」って言葉が出来るねなんて声も聞きました。

 でも、みんなに言うのですが、このお店、ネットじゃ良さは伝わりません。是非、西荻に足を運んでください。

 と言うとほとんどの人たちが「いや林さん、西荻って遠過ぎるよ」って言います。あ、この言葉ってあれだ、鎌倉のディモンシュが話題になり始めた時にみんなが言ってた言葉に似ているなと思いました。

 で、西荻、いろんな骨董屋や家具屋、渋い古本屋や可愛いカフェなんかがたくさんあるのって知っていますか? 休日にそれらを一つ一つ回るっていうのも楽しいと思いますよ。

 雨と休日、わざわざ西荻まで行く価値あると思います。「CDの売り方」のいろんな可能性を感じさせてくれますよ。

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 最後にお店の宣伝です。ボッサ・レコード、新しくレコード入荷しました。もし興味がありましたらのぞいてみて下さい。試聴も出来るし買わなくても楽しめると思います。

 音楽の話しだとついつい長くてすいませんでした。
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2009年08月04日

The Other Side of Jobim

barquinho ヒガシノリュウイチロウ http://barquinho.biz/

Antnio+Carlos+Jobim.jpg

 「いかにしてボサノヴァ/ブラジル音楽にたどりついたか」シリーズ、今回はやはりこの人のことは避けて通れないアントニオ・カルロス・ジョビンかな。全く脈絡ないけど…。

 ジョビンについては一家言持つ人が多く、いろんなところでその素晴らしさについて語られていて、今さら僕などが解説することは少ないので個人的・主観的なことを書いてみます。

 最初に結論を言ってしまえば、ジョビンがいなければ僕はブラジル音楽を聴いていなかったと思います。ジョビンのモダンなコード進行による数々のボサノヴァ・スタンダードを聴いたからこそ、その圧倒的な独自性に興味を持ち、「ブラジル音楽ってすごい」と感じてその他のブラジル音楽にもはまっていったのです。ボサノヴァやMPBには、ジョビンが作った曲でなくともジョビンの影響があったからこそ生まれた名曲も少なくないでしょう。ホベルト・メネスカルの転調を多用した作風も明らかにジョビンの影響だと思うし、MPB世代の音楽も、ジョビンがいたからこそ生まれ得たものなのではないでしょうか。

 あと、ビートルズ以降のロックを中心に音楽を聴いてきた人間にとって、やはり“自作自演アーティスト”というのは親近感があるし、感情移入しやすいですね。ジョビンは中期以降自分で歌詞も書いていて、ナイーヴな感性を表現した歌詞を書いているし、それを自分で歌った録音も残っている。そんなところも魅力的です。「リージア」や「ヴォセ・ヴァイ・ヴェール」といった曲からは“天才作曲家”の人間くさい一面を垣間見ることができます。ジョアン・ジルベルトの演奏はもちろん比類なく素晴らしいものだけど、自分の感情を吐露するようなことはあまり無いので、そういう意味でもジョビンには親近感を持ちやすいのかもしれません。

 さて、世の中にはジョビンの作品を扱った作品は星の数ほどありますが、本人の演奏・作品のなかではどれが好みかと問われるなら、僕は1973年の『マチタ・ペレ』、1975年の『ウルブ』のあたりが今は好きかな。どちらもクラウス・オガーマンの壮大なオーケストレーションが大きな位置を占めているけど、クールで甘すぎない良い仕事をしています。耳タコと化した有名曲がほとんど入っていないところも良い。そしてこの2作品は独特のダーク感というか、ダウナーな雰囲気を持っているところも好み。

 『ウルブ』を初めて聴いた時のことをいまだに印象強く覚えています。もう15年以上前だと思うけど、京都まで車で買い物に行って(当時は大阪府に住んでいた)当時ブラジリアン・ディスクがバリバリ最強だったヴァージン・メガストア河原町店で『ウルブ』を購入。夕暮れ差し掛かる鴨川沿いの道路を帰路につきながら買ったばかりのディスクをカーステレオに突っ込み1曲目の「ボト」が流れてきた時、車内の温度が1〜2度下がった気がしました。「イパネマの娘」や「ジェット機のサンバ」のジョビンの印象とは全く違うダークな感触に驚いたのですね。ビリンバウの乾いた音、不穏なベースライン、エレピの不協和音、そしてジョビンとミウシャの緊張感のあるデュエット、そして壮大なオーケストレーション。そこにはボサノヴァ的な感触は全く無いけれど、ジョビンにしか作り得ない高密度なブラジル音楽がありました。そして続くスローなアレンジの「リージア」の美しいこと。ジョビンが『ウェイヴ』あたりまでのいわゆるスタンダード・ボサの作曲家で終わっていても、もちろんその世界的地位は揺るぎなかったはずですが、『ウルブ』や『マチタ・ペレ』のような、単に聴きやすいだけじゃないパーソナルな作品があるから、僕はボサノヴァというジャンルを越えてジョビンというアーティストを愛しているのでしょう。

 最後にやっぱりギターのことを書くと、ジョアン・ジルベルトやバーデン・パウエルのようにあまり話題にならないけれど、ジョビンもまた独特の個性を持ったギターの名手だと思います。ジョアンのギターはぶれることのない右手親指の2ビートの上で、高音部がサンバのアクセントを黙々と刻み続ける、あくまでも弾き語りの伴奏に特化したものだし、バーデンのギターは鋭いアタックを武器にパーカッシヴにギターをドライヴさせるものですが、ジョビンはその中間といったところでしょうか。バーデンほどではないにしろ、ジョビンのギターはパーカッシヴで、ジョアンの弾き語り伴奏型よりも自由にリズムを刻み、アクセントが多いです。これはやはりアレンジャー的発想からくるボサノヴァ・ギターのとらえ方だと思うし、アンサンブルの中に入るととてもかっこいいです。彼自身のアルバム『ウェイヴ』や、アストラッド・ジルベルトのファースト『ジ・アストラッド・ジルベルト・アルバム』のギターにぜひ耳を傾けてください。もしかして無意識に聴いてきたこのジョビンのギターが、ボサ・ギターのデフォルトに思えてこないでしょうか。



↑ジョビンのギタープレイに注目!

Ps.若い時のジョビンってとてもハンサムかつおしゃれですよね。才能豊かでハンサムでおしゃれときたら、きっとモテモテだったのではないでしょうか。履いている靴なんかも、ジョアン・ジルベルトと比べても格段にファッショナブル!そんなところもとっても好きなんですが、晩年太ってガラリと印象が変わってしまいました。
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2009年07月30日

マ〜ドゥレ〜イラ〜♪

Bar Blen blen blen 宿口 豪 http://www.blenblenblen.jp

夏が来たっ!て感じですね。

俄然テンションが上がりますが、僕は夏の初めにいつも体調壊すんですよ。
早く暑さに慣れたいものです。

さて、そんな今年の夏、ウチの店で相変わらずヘヴィー・ローテーションなのがアルリンド・クルスの『MTV Ao Vivo』デース。

80年代初頭からフンド・ヂ・キンタウのフロント・マンとしてパゴーヂの黄金期を築き、またその後90年代はソンブリーニャとのタッグで名曲を量産し続けたアルリンド。

そしてソロとして第3のピークを迎え、ノリにノリまくっている彼の“今”が凝縮されているのが本作なのだ。

マリア・ヒタ『Samba Meu』やパウラ・リマ『Sinceramente』などへの楽曲提供、マルセロD2やレアンドロ・サプカイ(マリア・ヒタのプロデューサーにして今の彼氏!)ら新世代との交流を見れば、今の彼がどれだけ重要なポジションにいるか解るでしょ?

弾けるパルチード・アルトに始まる「これぞパゴーヂ!」な曲から、みんなで一緒に歌いたくなる懐っこいメロディーまで。
豪華ゲスト(と言っても彼にとってはいつものダチ)と共に奏でられる演奏は必聴ですゼ。

中でも印象的な曲と言えば・・・「Meu Lugar」ですな。うーん、サイコー!

サビで繰り返される“マドゥレイラ”っていうのは、昔の女の名前じゃないよ、地名なのです。
ジョルジ・ベンジョールもこの地をタイトルにしたカッチョいい曲を歌ってますよ。

リオの中心地からバスで北西に40分から1時間くらい、電車だと「絶対乗るな」と言われるゾナ・ノルチ方面、10数駅目にあるのがマドゥレイラ。

さて、そのマドゥレイラに何があるの?と言われれば・・・そこにはリオの4大サンバ連のうち2つの本拠地があるのです。

1つ目がブルーのリボンでお馴染みのポルテーラ。今年のブラジル映画祭の大目玉『O Misterio do Samba』(プロデューサーはマリーザ・モンチ!)はポルテーラの長老たちをルポした貴重なアーカイヴ、必見ですぞ!

そしてもう1つが、インペリオ・セハーノ。インペリオ・セハーノとは・・・コレは僕が語れることではないんですよ。

皆さんはKTa☆brasil(ケイタブラジル)という男を知っていますか?

数々のイベント、番組でのMCやDJ、パーカッショニストとして多忙を極めるお祭り男、ご存知の方も多いことでしょう。
彼が長年参加し続けているサンバ・チームこそ、このインペリオ・セハーノなのです。詳しくはコチラを御覧アレ!

さて、KTa君と言えば。
この度Newsweek誌が選ぶ「世界に尊敬される日本人100人」に選ばれました。コレは凄い!

普段から勉強熱心で、やりたいことに注ぐエネルギー量が半端ない彼の努力と才能が認められた結果ですな。

おめでとう!!KTaくん!

KTa君の声を聴いたことがありますか?
ブログだけでは伝わりきらない彼の熱いハートが絶対に届くハズなので、是非彼の仕掛けるパーティーに遊びに行ってみてください!
スッゲー楽しいから。

そして文章だけではない、彼の“生”の声に是非耳を傾けてください!


話をマドゥレイラに戻しましょう。

2007年の2月、店を2週間休んでブラジルに行っちゃったときの話。

当時リオに滞在中だった友人とコパカバーナ海岸で待ち合わせをしたのです。

普段から割とグダグダな友人は相変わらず遅れてきました。

すっかり日に焼けてちょっとカリオカかぶれになっていた彼とビールをグビグビ飲みながら、彼は将来についていろいろ話してくれました。

バーテンやりながら音楽を続けたい、日本でもっと楽しいサンバ環境を作りたいetc…彼の妄想は尽きることがない様子。

後日一緒にマドゥレイラに行こうと誘われ、モチロン快諾、その日は昼過ぎに別れました。


そして数日後。

セントロで待ち合わせ、バスでマドゥレイラへ。

こんな遠くまで来ちゃって大丈夫かな〜なんて思いつつようやく到着、ショッピング・センターもあるなかなか賑やかな街でしたが、人の視線が凄かった。

東洋人が珍しかったんでしょうね、日系人なんてココにはいないんですよ。

そもそも観光で行くような場所ではないんですね。

その日はインペリオ・セハーノの練習場でアルリンド・クルス主催のイベントがあるとのこと。

ステージに近いテーブルを確保、缶ビールを文字通りバケツに山ほど用意して準備オッケー!

アルリンドは勿論、マルセロD2やベッチ・カルヴァーリョ、ピキ・ノーヴォ、グスタヴォ・リンス、その他いろいろ出てきてテンション上がりまくり!

友人は隣のテーブルにいたオバチャンに大モテで、一緒に踊ったりビールをしこたま飲んだりで、気づけばもう深夜3時でした。

帰りは当然バスもなく、コンビと呼ばれる乗り合いワゴン車でなんとか戻り、ホテルに着いたのは明け方。

う〜ん、とてもいい思い出です(遠い目)。



さて、その友人、camaci(カマシ)君は帰国するや否や、妄想を実現化するため走りだしました。いつものグダグダがちょっとウソのように。

そしてそのわずか数ヵ月後、aniさんが中心となって横浜に小サンバ集団G.R.B.P mocidade vagabundaを設立、関内にサンバをコンセプトにしたバー、barracao da mocidadeをオープンさせてしまうのでした。

それからの彼らの活動は皆さんご存知の方も多いことでしょう。数々のクラブ・イベントやパーティーに出演、その活動は多岐に渡ります。

彼らの楽屋を訪ねるとオモシロいんですよ。ある人は黙々とイメトレ、ある人は酒を飲みすぎていて他のメンバーに怒られ、ある人はずっとくだらない冗談を言いあって爆笑しあったりと、みんな表情豊か。

ブラジルってこういう奴らばっかだよな〜なんてニンマリしちゃうんですよ。


そしてなんと!この度2000組近い応募の中からわずか16組という狭き門を突破し、彼らはサマーソニックに出場することになりました!

コレはスゴイぞ!おめでとう!!

弾けまくっちゃってくださいよ!

皆さん、是非彼らの躍動感溢れるステージを目の当たりにしてください。



さて、KTa☆brasilとmocidade vagabundaの共通点と言えば。

彼らは物凄くインテリで勉強熱心だし、経験もウンチクも人一倍蓄えている。

でも人前に出てパフォーマンスをすることを「エンターテイメント」であると自覚しているから、ウンチクは家の引き出しにしまってくるんですよね。

“クラブ”という夜の遊び場にはできるだけアカデミックな要素は持ち込まないように。

何の予備知識も持たない普通の子が、普通に興味を持ってくれることを願って。

時に自称ブラジル通の人たちから揶揄されることもあるでしょう。「軽いよね」なんて言われちゃったりして。

でもそんな雑音は彼らの耳には入らない。

なぜなら自分達の大好きなモノを日本中に広げようという使命感を持っているし、自分達の活動が楽しくてしょうがないから。

そしてそんな彼らを、僕は同じブラジル音楽好きとして共感し、誇りに思うし、応援しています。

イェイ!いいぞ、いいぞ〜!


でもまだまだカッコイイ連中がいるから紹介させてくださーい!

まずはブレンの火・土曜日を手伝ってくれてるゆうこちゃん率いるBAQUEBA(バッキバ)だ。

レシーフェの重量級リズム、マラカトゥを演奏するイケメン&カワイコちゃんタイコ集団だぜ〜。

今年の「Saude!Saudade…Carval2009」のオープニング・アクトで衝撃のお披露目以後、現在はDJのスクラッチもフィーチャーして活動中。

カッコいいゼ〜!!

ワークショップも随時開催中とのこと。

今後もイロイロな予定が入ってるっぽいよ。詳しくはブレンで直接ゆうこちゃんに聞いてくれ〜!


そして期待の新人、カンタス村田&サンバ・マシーンズ

こないだ音源をもらったんだけど、コレが耳から離れない。

サンバ、ファンクを織り交ぜつつも仕上げはあくまでもポップスなのだが、ブラジル音楽通がニヤリとする箇所がたくさん用意されているのだ。

そして何といってもフロントマン、カンタス君の歌の存在感がイイネ!

ライブも結構やっているみたいだから要チェック!!


彼らに続けとばかりに僕もお店を適度にがんばりま〜す!
posted by ベーマイストレス at 17:17| Comment(0) | ブログ

2009年07月23日

ラティーナ 夏のセール開催中

Blenのゴウです。

最近ちょこちょこレヴューを書かせてもらっている月刊ラティーナ、今回はジョルジ・ベンジョールの81年盤を解説しましたので是非読んでくださいね〜。

そしてラティーナと言えば!毎年恒例、年2回のお楽しみ、セールが今まさに開催中ですよ〜。

リストはコチラ、今回も安い、ヤバイ!特価品も充実ですな〜。

探していたあんなCDやらこんなDVDやらを大人買いするチャンス!

7/25(土)までですよ〜、特価品目当ての方は特に急げ〜!
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2009年07月17日

7/20(月・祝)は青山に集合!

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先日コチラでお伝えしましたこのイベントに、Bar Blen blen blenが出店いたしまーす!当ブログで提案した「肉とダンス・カルチャーの明るい未来」が早くも実践される運びとなりましたよ、やったゼ!
ということで、皆様のご来場を心よりお待ちしております!


★SPIRAL RECORDS + NRT presents
 MUSIC SPIRAL vol.1 "Brasil 海と音楽"

 2009年7月20日 (月・祝)
 @EATS and MEETS Cay (南青山 / SPIRAL B1F)
 
 #1 WORKSHOP 16:00〜
 「この夏、海に連れていきたいブラジル音楽」
  ナビゲーター: 中原仁
  
 #2 SPECIAL LIVE
  naomi & goro

 #3 DJ EVENT 17:30〜
 「Samba-Nova」
  DJs: 成田佳洋(NRT)、宿口豪、haraguchic、中原仁
  Guest DJ: 橋本徹(SUBURBIA)
  Brasilian Food: Bar Blen blen blen
  
 CHARGE:
  WORKSHOP / SPECIAL LIVE / Samba-Nova 共通チケット ¥4,000
    ※定員あり / 予約可
  Samba-Novaのみご入場のお客様 ¥3,000
 
 詳細はコチラ
 
SPIRAL RECORDS(南青山 / SPIRAL 1F)の今夏のキャンペーン"Brasil 海と音楽" を記念したスペシャル・イベントが開催!

放送21年目を迎えたブラジル音楽のラジオ・プログラム「SAUDE! SAUDADE...」(J-WAVE)のプロデューサー、中原仁による "この夏、海に連れていきたいブラジル音楽" をテーマとしたワークショップに、7月8日に新作をリリースするnaomi & goroのスペシャル・ライブ、そして東京のブラジル音楽シーンを代表するDJイベント "Samba-Nova" が同時開催!

<共通チケットのお問い合わせ / ご予約>
  電話予約 : SPIRAL RECORDS 03-3498-1224
  メールご予約 : sea-brasil@spiral.co.jp
  (ご予約開始 : 7月1日 AM11:00〜)
  
●メールでのご予約の際には、来場をご希望なさるお客様のお名前をカタカナ・フルネームでお書き添えください。ご予約が可能であるか、ご返信差し上げます。
●ご予約はお1人様につき、2名までとさせて頂きます。
●定員に達し次第、ご予約を終了させて頂きますので、ご了承ください。
●定員に達しますと、当日の共通チケットの販売はございません。確実にご入場をご希望のお客様には、早めのご予約をお勧め致します。
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2009年07月14日

カシャーサフォーラム2009開催!

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ブラジル大使館(北青山)で7月23日午後2時からカシャーサフォーラム2009が開催されますが、試飲会中、バルキーニョ東野がボサノヴァ演奏を数曲させていただきます。平日のお昼ですが、どなたでも参加できますので、ぜひ下記ページで詳細をご確認下さい。また、バルキーニョでも参加受付しておりますので、どうぞよろしくお願いします。

カシャーサフォーラム2009 with 試飲会!
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2009年07月10日

タイ料理とラム・トロピカリアとレモン・シャーベット、あるいはチルドレンズ・ゲーム

bar bossa 林 伸次 http://barbossa.com

 正直な話し、タイ料理なんて二度と口にしないと思っていました。というのは10数年前のエスニック料理ブームの時に一度タイ料理を食べて、「この味は自分には絶対ムリ」と痛感したからです。

 話しは少しそれるのですが、私はありとあらゆるものに対して趣味が「OL女子大生的」なんですね。いわゆる渋いものとか難解なものって全くわかんないんです。ホルモンやシメ鯖、ヌーヴェル・バーグやフリー・ジャズ、腕時計や真空管アンプ、アイラモルトやハーブ系リキュール、といった世の中の渋い趣味のものが全部ダメなんです。

 だからその流れで、タイ料理はちょっとハーブが多すぎてダメだなと思っていたんです。

 でも、吉祥寺を妻と歩いていてなんとなく目に入ったタイ料理屋さんに飛び込んでみたんですね。というのは最近、期待して出かけた飲食店がことごとく自分の趣味にあわず、何か新しい味のジャンルに挑戦してみたいなと思っていたんです。

 するとどうでしょう。そのタイ料理屋さんで出てくる料理が何もかもおいしくて、あれいったいどうしたんだろうと思ったわけなんです。

 これは理由はすぐに判明しました。結婚してから毎日妻の料理を食べているわけですが(私は全く料理ができません)、妻はハーブが好きでやたらと料理に入れちゃうんですね。それでいつの間にか自分の味覚が変化していたんです。

 そうか、ハッカクやパクチーを入れるからこそ味に多くの重なりや深みが出来てより食材のおいしさを楽しめるんだな、ということが理解できるようになっていたんです。

 でも、今までタイ料理って全くのノーチェックだったので、どういうお店や料理がオススメなのか全然知りません。そこでお願いがあるのですが、オススメのタイ料理のお店とか料理とかを教えてもらえませんでしょうか。

 あの、もちろんバール・ボッサの店内で教えてほしいのですが、コメントに残してくれるのもありですよ。って書いても、なぜかコメントはくれないんですよね…

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 次はお店の宣伝です。

 ラム・トロピカリアという飲み物を7月下旬から始めます。

 本当はラムにパイナップルとマンゴーとレモンを漬け込んだラム・パンチなのですが、妻が「『ラム・パンチ』って名前がオシャレじゃない。私だったら名前で頼まない」と言うので、名前を考えたところ、「ラム・トロピカリア」という名前になりました。はい、もちろんカエターノ・ヴェローゾのファンがどうしても注文してみたくなるというのをねらった上でのネーミングです。でも、ホントおいしいですよ。

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 あと、オープン当初から「アイスとかシャーベットとかないんですか?」ってずっと言われ続けていたのですが、やっと理想的な味に出会ったので始めます。

 自家製のレモン・シャーベットです。ホント、すごくシンプルなレモンの酸味だけが楽しめる味です。たぶん、ちょっとしたお口直しで注文される人が多いだろうなと思ったので「一口サイズで¥300」という価格設定にしました。ちょっとサッパリしたいという方は是非お試しください。

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 さて「チルドレンズ・ゲーム」というお題でお話を書くことですよね。

 最初は女性受けするあたたかい子供の遊びの話しを書こうと思っていたのですが、「いやいや、子供の遊びってホントはすごく残酷なんだよな」と思い直して下のような話しを書きました。

 ゴウさん東野さん、またまた重い話しですいません。重い話しが嫌いな人は読まないで下さいね。

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 僕たちがまだ小学校にあがる前、ミホちゃんが呪いの言葉を教えてくれたよね。あの頃僕は近所の悪ガキ3人組にいつもいじめられていて、それを見かねたミホちゃんが
「私がすごくよくきく呪いの言葉を教えてあげるから、それであいつらに仕返ししようよ」って言ってくれたんだっけ。

 あの悪ガキ3人が池で溺れて死んでしまったのは、やっぱりあの呪いの言葉が原因だったんだよね。まあとにかくあの後、僕には平和な生活が戻ってきたからとても嬉しかったんだけど。

 ミホちゃん。小学4年生の時にすごく体罰がひどかった男の先生がいたのって覚えているかな。一度、僕は全然悪いことをしていないのに「教室全員の責任だ」って言ってその先生がみんなの顔を往復ビンタしたことがあったんだ。

 で、僕、うちに帰ってあのミホちゃんに教えてもらった呪いの言葉をとなえたんだ。そしたらその先生、交通事故で下半身不随になっちゃってね。教室にはまた平和が戻ってきたんだ。

 高校の時にミホちゃんに言い寄ってくるキザな男がいたのは覚えているかな。ミホちゃんはたぶん嫌がっていたはずなのに、あいついつもミホちゃんにプレゼントとか渡していたじゃない。

 で、僕、ミホちゃんのことを助けなきゃと思って、うちに帰ってあの呪いの言葉を使ったんだ。そしたらあのキザな男、大火傷してひどい顔になっちゃったじゃない。それでミホちゃんからも離れていって。ミホちゃん、あの時、君を助けたのは僕だったんだよ。

 ミホちゃんが25才の時に結婚した男もいたよね。そうあの結婚式の時、ミホちゃん、最後に涙を流していたじゃない。僕だけは気がついたよ。ミホちゃんはこの結婚を本当は望んでいないんだって。

 もちろん僕はあの呪いの言葉でミホちゃんの夫になる男を消してしまったんだ。あの男は確か通り魔に刺されたんだよね。

 でもミホちゃん。気になるのは、その後、ミホちゃんは家で首を吊って死んでしまったよね。悩みがあるんなら僕に相談してくれれば良かったのに。僕はいつでもミホちゃんの味方だから、あの呪いの言葉でどんなやつでもやっつけてやったのに。

 ミホちゃんがいなくなってから僕はずっと部屋に閉じこもったまま毎日何にもしないで暮らしているんだ。両親は「何か仕事を探しなさい。いつまでも子供じゃないんだから」っていつもうるさいんだけど。

 昔、僕たちがまだ小さかった頃、ミホちゃんに教えてもらったあの呪いの言葉、今度は誰に使ってやろうか、最近はそればかりを考えて暮らしているんだ。

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 アントニオ・カルロス・ジョビンが書いた曲で「チルドレンズ・ゲーム」というとても美しい曲があります。この曲はインストの時は「チルドレンズ・ゲーム」、ポルトガル語詞の時は「バラに降る雨」、英語だと「ダブル・レインボウ」というタイトルになります。今回はその「チルドレンズ・ゲーム」というタイトルを借りて書いてみました。

 次回はちゃんと音楽の話しにします。
posted by ベーマイストレス at 13:48| Comment(0) | ブログ