2009年12月10日

天気予報

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barquinho ヒガシノリュウイチロウ http://barquinho.biz/

 先月ホベルト・メネスカルについて書いた時にちらっと触れましたが、今月はそろそろマルコス・ヴァーリについて書いてみようかな。正直、マルコス・ヴァーリは好きな作品が多すぎて何から書いたらいいかとても難しいのですが、やっぱり大好きなアルバム『プレヴィザォン・ド・テンポ』を中心に書いてみましょう。
 マルコス・ヴァーリの曲はボサノヴァを聴いていれば、必ず耳にしているはずで、僕もボサノヴァを聴き始めたばかりのころから大好きでした。ほんとにおしゃれな曲ばかり書くアーティストだなぁと思っていたし、歌声もジョアン・ジルベルトや、アントニオ・カルロス・ジョビンに比べるとポップで聴きやすかった。これは主に彼の初期の2枚や、アメリカ向けの『Samba68』のイメージですね。
 さて、僕がボサノヴァを聴き始めた頃はCDで入手できるマルコスのアルバムは限られていたので、それ以降のマルコスのアルバムで聴くことができたのはボンバからリリースされていた1981年の『ヴォンターヂ・ヂ・ヘヴェール・ヴォセ』くらいでした。このアルバムはマーヴィン・ゲイの『アイ・ウォント・ユー』の実質的作者リオン・ウエアやシカゴが参加したメロウ・ソウル・テイストのアルバムで、初めて聴いた時、初期の作品とのギャップに少し違和感があったことを覚えています。(『アイ・ウォント・ユー』は大好きだったのですが、当時はマルコスにボサノヴァを期待しすぎていたのですね)
 そしてその後少ししてからブラジルで再発されていたマルコスの『ムスタンギ・コル・ヂ・サンギ』『ガーハ』そして『プレヴィザォン・ド・テンポ』の3枚組ボックスを聴いた時には、『ヴォンターヂ・ヂ・ヘヴェール・ヴォセ』とは違う独特のサウンドに驚愕しました。特に『プレヴィザォン・ド・テンポ』に…。巷では「水中クンバカ・ジャケ」と呼ばれているこのアルバム。(呼ばれてないか?!…)そのジャケ写の奇妙さと同じくらいに内容もぶっとんでいて、これを聴かずにマルコスを語っていたということは『サージェント・ペパーズ』を聴かずにビートルズを語っていたようなものじゃないかと思うくらいに衝撃的なアルバムだったのです。
 なにがカッコいいって、アルバム全体を流れる70年代初期的なアナログサウンドが最高にカッコいいんです。そう、このアルバムが発表された1973年といえば、スティーヴィー・ワンダーが傑作『インナーヴィジョンズ』を発表した年。『プレヴィザォン・ド・テンポ』は『インナーヴィジョンズ』に呼応するようなエクスペリメンタルな響きで満ちています。特に12曲中9曲でバックを務めるアジムスのジョゼ・ホベルト・ベルトラミが弾くアープ・シンセサイザーとハモンド・オルガンのサウンドが秀逸。マルコス自身が弾くローズも気持ちいい!楽器の音質についてはこの時代だけに偶然作り得たものかもしれないけれど、その偶然さえもがこのアルバムを特別なものにしていると言えるでしょう。もちろんセンスのよいフレージングあってのものですが。
 ああ、好きなアルバムを語って止まらなくなってきたので、勢いで全曲解説を書いてしまいます。

1「フラメンゴ・アテ・モヘール」
リオの名門サッカークラブ“フラメンゴ”を讚えた応援歌。バックを務めるのはヴィニシウス・カントゥアリアが在籍したロック・グループ、オ・テルソ。ハモンド・オルガンとクイーカが同居するエレクリック・サンバ。ラフな女性コーラス隊も雰囲気を盛り上げます。

2「ネン・パリトー、ネン・グラヴァッタ」
どことなく「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」のポールのパートを連想させるロックナンバー。ベルトラミのシンセがうなりはじめる。

3「チーラ・ア・マォン」
グニョグニョしたシンセと反復するリズムが脳髄をマッサージするようなサイケデリックなナンバー。ジャケ写の世界を表現しているよう。

4「メンチーラ」
ワウワウギターとホーン・セクションが心地よいファンキーなこの曲はクラブでも大人気。アジムスのタイトなリズムセクションにも注目。

5「プレヴィザォン・ド・テンポ」
アルバムタイトル曲であるインストゥルメンタル。意味は「天気予報」。悲しげなオーケストレーションに絡むゆれるエレピ、泣きのシンセが渋い。

6「マイス・ド・キ・ヴァルサ」
ファルセットのマルコスが歌う正統的なワルツ。しかし、そこにからむスペーシーなアープが普通の曲にはしておかない。どんどんこのアルバムのディープな世界に連れてゆかれる不思議な曲。

7「オス・オッソス・ド・バラォン」
ヴァルテル・ブランコがオーケストラを指揮する、アルバム中では最も正統的なポップナンバー。

8「ナォン・テン・ナーダ・ナォン」
デオダート、ジョアン・ドナートとの共作。ミディアム・テンポのファンキーなナンバー。1974年のタンバ・トリオの通称『ブラック・タンバ』でカヴァーされています。(このアルバムも『プレヴィザォン・ド・テンポ』と同様のムードを持った素晴らしい作品)

9「ナォン・テン・ナーダ・ナォン」
8のリプリーズ・インストゥルメンタル。シンセ・ソロがカッコいい。

10「サンバ・ファタル」
オ・テルソがバッキングを務めるマイナー・エレクトリック・サンバ。ディストーション・ギターが登場。

11「チウ・バ・ラ・キエバ」
言葉遊びのような淡々とした曲。美しいラスト前に置かれた小品の趣。

12「ヂ・ヘペンチ・モサ・フロール」
マルコスはファースト・アルバム『サンバ・ヂマイス』でドゥルヴァル・フェヘイラの「モサ・フロール」を歌っていますが、この「ヂ・ヘペンチ・モサ・フロール」はその続編のような曲でしょうか。とにかく“はかなげ”で美しく永遠に聴いていたい衝動に駆られます。エレピのバッキングと印象的なベース・サウンドが曲をひっぱり、時折ギターが少しだけアルペジオを添えるシンプルなバッキング。テンション・コードが美しいエレピのソロ、そしてフェイド・アウトするウネウネシンセがリスナーを天国に連れていく神曲でアルバムを終えます。

ということで『プレヴィザォン・ド・テンポ』を聴いた事無い人は絶対聴いてくださいね。もちろんリクエストがあればバルキーニョでもお聴かせいたします!
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2009年12月01日

今年も豊作、いい音楽

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Bar Blen blen blen 宿口豪 http://www.blenblenblen.jp

寒いよ!

てか今年は暖冬ですって、よかった。

今年も残すところあと1ヶ月。’00年代も終わりですね、早ぇーな、全く。

こないだ21世紀に突入したばっかりと思ってたらもう2010年ですよ。
キューブリックが想像した2001年の世界はまだまだ当分先ですね。
藤子不二雄の方がよっぽど冷静に時代を読んでいたのかもしれねーな。

さて、そんなことはさておき、皆さん今年もCDいろいろ買いましたか?

僕は買いましたよ、ええ。

ブラジル盤のCDはまあ毎年ある程度の量は買っているワケでして。
今年は国内盤のリリースも少なく、「ブラジルもの少ないジャーン?」みたいな声を多く聞いたのですが、実は結構リリースされていたんですよ、ビックリすることに。

ラティーナClaro新宿ディスク・ユニオンスパイラル大洋レコードによく顔を出す人はご存知でしょうが。

案外いい作品多かったんスよ。

ということで、その私的ランキングは12/20(日)発売の月刊ラティーナ1月号に掲載して頂ける予定なので是非チェックしてくださいネ!

そして同日のJ-WAVE ” Saude!Saudade…”もよくチェックだぜ。

そう、2009年ブラジル・ディスク大賞の結果発表なのですね。
今年の1位はなんだろな。うーん、気になる。

さてブラジルものもよかったが、他も案外よかったぞ。

今年も僕は結果的にエレクトリックな音の12インチ・シングルを中心にいっぱい買いましたが、やっぱりいいモノ多かったな。

何がと言うと〜、う〜ん、どれもタイトルとアーティスト名が出てこない。。。なんだそりゃ。。。
スゲーかっこいいものがいっぱいあったんだけど、「コレ!」って名前が出てこないなあ。

なんか21世紀に入ってからそんなことばかりだ、僕は。

例えば、90年代は「トライブやべー!」とか「ロニ・サイズ超やべー」とかガツンとくる「今年の一発!」的なものがあったような気がするのだが。

自分も寄稿させて頂いた『クラブ・ミュージック名盤400』においても、「99年までのものはほとんど知ってるけど、それ以降のものはあまり知らないものが多い」って人が意外と多かったしな。

そういう時代になったのか、はたまた単純に自分が年をとっているからなのか。

まあどっちでもいいや。

相変わらずカッコイイ音源がリリースされ続けているコトだけは事実なのだ。

そしてまたバー・カウンター内がレコードに侵食されて、チカちゃんに「どうにかして!」とか言われたり、ゆーこちゃんにジャケをスコーンと蹴っ飛ばされたりしながらも、懲りずに明日もレコード屋へ向かうワケです、ハイ。


皆もCDやレコード買おうよ。
コピーばっかしてたらホントに音楽なくなっちゃうよ、知らないよ。


さて、音楽は時に奇跡的な何かを僕に返してくれる。


この間ド暇だった11月のある日の出来事。

お客さんが常連さん1人しかいなくて、リクエストによりエレクトリック音楽をガンガンかけ倒していたのですよ。

12インチをバンバン繋いで1時間半くらいお祭り騒ぎ、たった3人で。(普段はブラジル音楽をかけてるんですよ、念のため)

MIXするのも疲れてきたから、僕の大好きなロンドンの某テクノ系アーティストのMIX-CDでもかけようと思ってCDをセットしたら、その直後に店のドアが開き、なんとご本人登場(笑)。

ウソみたいだよな〜。

ちなみに彼は「エリス・レジーナ、オネガイシマス!」、「ジョルジ・ベン、オネガイシマス!」みたいな感じでテンションが上がっていき、後半はゲイリー・バーツで踊ってた。

楽しかったなあ。
これだからバーはやめられませんよ。

“Music is my sanctuary”なのダ。
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2009年11月10日

関西人の視点と、カルロス・アギーレのことと、良い夫婦の日のパーティのこと(ちょっと長過ぎ)

  http://barbossa.com/ bar bossa 林 伸次

 妻に言わせると、私は「女性のことをよくわかっているように見せて、本当のところは全然わかっていない奴」なのだそうです。

 実際、今までの人生の中で「友人として親しくしていた女性」に突然「おもいっきり無視、絶交状態」になったことが3回あります。妻にそのことを言ったら「わかるなあ」ということでした。

 そんな私ですから、バーテンダーとして接客していて、女性のお客様を泣かせてしまったことが今までに3回あります(ゴウさんと東野さんは絶対にこんな失敗は犯していないと思います…)。

 1回目はこんな感じでした。いつもお一人で来るかなり綺麗な女性がいました。年の頃は30代前半という感じだったでしょうか。その方は綺麗なのに何故か良い恋愛に恵まれずいつも「良い出会い」を求めていました。そんな彼女がある日私にこんなことを言いました。「最近、うちの母親が『お見合いしないか』って言うんですよ。林さん、どう思います?」

 さて、質問です。みなさんならここでどう答えますか? 私はこう答えてしまいました。「ああ、お見合いですか。あれってなかなか面白い制度ですよね。昔の日本は実はお見合い結婚がほとんどだったんですよね。それはそれなりに日本の良い制度だと思いますよ。お見合い、良いじゃないですか。軽い気持ちで試してみたらどうですか?」

 って、軽い気持ちで言ったら、彼女、カウンターで泣き出しちゃったんです。「ええ〜、止めてほしかったの? そんなわかんないっすよ!」ですよね。

 2回目はこんな感じでした。あの、私、お付き合いが長いカップルに「お二人は結婚しないんですか?」と訊ねるのをライフワークとしているんですね。そういう誰かが背中をポンと押す作業ってしなきゃいけないと思っているんです。で、バーはお酒の席なので、そういうのもありかな、と思うんです。

 さて、いつもお二人で来店する、もちろん恋人達だとわかっているカップルが来ました。最近はお二人と冗談話しもするし、そろそろ言ってみようかなと思ってこう言いました。「お二人は、結婚とかそろそろ考えてはいないんですか?」

 すると、女性の方が突然泣き出しちゃったんです。「あ、ごめんなさい…、あの、あの」と私がオロオロしていると、女性がこう答えました。「私の方こそすいません。いや実は今ちょうど別れ話をしてたんです…」

 ええと、これは完全に私の失敗でした。ごめんなさいです。

 3回目はこんな感じでした。バール・ボッサ開店当時からの常連のお客様である田仲さんが新しい恋人である千春さんと来店しました。

 さて、千春さんは最近神戸から上京してきたばかりだったので、おもいっきり関西弁だったんですね。でも彼女は大きくて真っ黒な瞳が印象的で小柄で線の細い可愛い女性なんです。お仕事も子供服のデザイナーをされていて、雰囲気的にもクウネルのモデルとして出てきそうな感じなんです。

 で、私は彼女にこう言ってしまったんです。「あの、関西弁はやめて早く標準語にした方が良いと思いますよ。というのは東京の人達って、関西弁の人はお笑いの人みたいに面白いことを言う人とか、あるいはケチでガサツな人っていうイメージを持っているんですよ。でも千春さんはそんなイメージからは遠いタイプの女性なんで標準語の方が無難ですよ」。

 はい。で、その後、彼女が泣いちゃったんです。

 でも思うんですけど、「東京で関西弁をしゃべる人」に対して多くの人達が「お笑いの人」とか「ケチでガサツな人」というイメージを持っていますよね。この東京の人の感覚が偏見だというのはもちろん私もわかっています。関西に住んでいる人はほとんどが関西弁をしゃべり、その中には全然面白くない人もいれば、とてもお上品でスマートな人もいるのはもちろんなんですよね。

 もちろん東京人も「関西人にも色々ある」というのは理解しているはずなんです。でも、偏見とはわかりつつも関西人を軽蔑しているわけなんです。

 さて、私は四国の徳島という場所で生まれて育ちました。徳島はテレビは関西エリアのものを見ていますし、お好み焼きや笑いのセンスも含め、おもいっきり関西文化圏なんですね。だから私が徳島の言葉をしゃべれば東京の人は「あ、この人、関西弁だ」と感じるはずなんです。

 しかし、大阪や神戸の人からすると、徳島の関西弁はすごく訛っているように聞こえるわけです。ちょうど、群馬の人が関西に行くと「標準語の人」と思われるけど、東京から見ると群馬の人は「訛っているな」と感じるのと同じ関係なんです。

 だから私は関西文化圏で育って「関西人的メンタリティ」は理解できつつも、東京で関西弁は絶対に喋りたくないなという気持ちがとても強いんです。わかりますかね、この感じ。ちょっと違うかもしれないのですが、NYで生活している在日韓国人があんまり日本語を使いたくないような感覚と言えばいいのでしょうか。

 まあそういうわけで、私は関西文化というものに対してとても微妙な感情を持っているんですね。

 しかし、先日、ミーツ・リージョナルの別冊である「東京通本」という雑誌を手に入れて、「もしかしてこの現在の東京のイヤーな感じを救ってくれるのは関西人的感覚かも」と思ってしまったんです。

 この雑誌はただひたすら「関西人が見たところの東京の街の魅力」というのを紹介しているんですね。で、その切り取り方がいかにも関西人という切り口で、江古田とか武蔵小山とか野方とか幡ヶ谷とか、もう普通はないでしょ、というような街ばかりを紹介しているわけです。

 で、そんな街の魅力的なお店をどんどん紹介しているわけなんですが、その紹介の仕方がなんだかとても愛にあふれているんです。

 あの、例えば東京の雑誌がレトロ系の喫茶店を紹介したら「なんか昭和な感じが落ち着くよね〜。ゆるゆる〜最高〜」って感じですよね。あるいは変なメニューばっかりがある個性的なおじさんがやっている食堂なんかが紹介されたりすると「街の不思議おじさん発見(笑)」といった感じでしょうか。わかりますか、なんかこう上から目線なんですよ、東京の雑誌は。

 しかし、この雑誌の関西人の視点はとても愛があるんです。あ、ほんとにこの街とこのお店とこの人が好きなんだなと伝わってくるんです。

 まあ私が指摘するまでもなく、最近はインターネットというものが後押しして「全国民評論家時代」ですよね。それらの多くがなんだか「上から目線」でイヤだなってずっと思っていたんです。

 あのですね、私も友達と「あの作品は駄作だね」とか「あの店は不味いよ」とかは普通に言ったりするんですけど、公の場では発表しないんですよね。

 バール・ボッサにもよく来ていただいている豊崎由美さんが「誰かの作品を批判するときは、その人の作品を全部読んでいる必要がある」と言ってたそうなんですね。それ、わかるんです。批判するって結構責任重大なんですよね。例えば、日本料理を全く食べたことない外人に「●●というお店で刺身定食を食べたけどおいしくなかった」と言われると「?}じゃないですか。でも、在日20年で日本語もペラペラで毎週のように一人あたり2万円の和食を食べている外人なら批判しても納得ですよね。

 なんて言うんでしょうか。何かの作品やお店を批判するにはそれなりの責任が必要だと思うんですね。でも、なんかちょっと最近それがずれてきているように感じているんです。そしてインターネットの場合はそれを匿名でやるというのがさらに「?」なんですよね。

 そんな「なんかイヤーな感じ」をこの雑誌は吹き飛ばしてくれるんです。

 小田実の「オモニ太平記」という名著があるのはご存じですか? あ、小田実の愛のある視点は関西人ならではだったんだな、と再確認したところです。

           ●

 先日、カルロス・アギーレのことをブログで書いてから色んな人たちに「いや実は僕もカルロス・アギーレ大好きで」と言われています。あ、Vila Kitocoさん、吉本さん、CD−Rありがとうございました。

 カルロス・アギーレすごいです。誰に聞かせても「すごい!」と言います。この間はイースト・ワークスとイントキシケイトの高見さんがいる時にカルロス・アギーレをかけました。高見さん、相当酔っぱらっていたのですが、「林さん、これ誰? すごく良いんだけど」と言いました。その後、高見さんは30分くらい眠ってしまって、目を覚ました後、また「林さん、これ誰? すごく良いんだけど」と言ったんです。その時、横にはコンボピアノの渡辺琢磨さんがいたのですが、「林さん、高見さんがこんなにいうことめったにないですよ。これ、絶対にいけますよ」と言ってくれました。あ、高見さんは中島ノブユキを世に出した「日本のクリード・テイラー」と呼ばれている人です。

 カルロス・アギーレ、もうすごすぎて、ちょっとコラム書いてみました。興味ある方はどうぞです。

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 11月22日の良い夫婦の日のパーティ、まだ空きはあります。結婚している人ももちろん参加できますので。山本のりこさんの演奏、すごく良いですよ。目の前で見れるのなんてめったにないですよ。あと基本的には飲み放題ですしカイピリーニャやモヒートもありますので、「飲みたい!」という人もどうぞです。
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2009年11月05日

太陽、塩、南 〜 ホベルト・メネスカル

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barquinho ヒガシノリュウイチロウ http://barquinho.biz/

 「いかにしてボサノヴァ/ブラジル音楽にたどりついたか」シリーズ、まだまだ続けます。今回は弊店barquinhoの元ネタであるボサ・スタンダード曲「O Barquinho」の作曲者ホベルト・メネスカルについて。

 ボサノヴァを聴き始めた頃アントニオ・カルロス・ジョビンは別格として、「この曲はお洒落なコード進行だな」と思う曲はほとんどがホベルト・メネスカルかマルコス・ヴァーリ作曲のものでした。そして彼ら二人の代表曲の多くはリオ・デ・ジャネイロの夏を歌ったもので、いわゆる「太陽、塩、南」路線と言われるものだったのです。(「太陽、塩、南」はメネスカルと作詞のホナルド・ボスコリの曲「Rio」に出てくる歌詞。メネスカルはボスコリと多くの名曲を作っています。)僕はいまだにボサノヴァの中でもこの路線の曲が一番好きで、ヴィニシウス・ヂ・モライスの哲学的な世界と同じくらいに、「太陽、塩、南」の青春路線は普遍的なものだと思っています。ちなみにこの路線をジャケット、収録曲、アレンジ、歌声全てでパーフェクトに表現しているアルバムはワンダ・サーの『ヴァガメンチ』でしょう。そう、このアルバムのタイトル曲「ヴァガメンチ」はメネスカル&ボスコリの曲ですし、アルバムのプロデュース自体がホベルト・メネスカルなのです。

 メネスカル&ボスコリは「O Barquinho」「Rio」「Vagamente」の他にも「Ah!, se eu pudesse」「A morte de um deus de sal」「Telefone」「Tete」「Voce」など多くの曲を作っているので、ボサノヴァのアルバム、コンピレーションCD等で知らず知らずのうちにそのメロディが無意識に耳に残っているはず。メネスカルはボサノヴァ時代以降もギタリスト、プロデューサーとして重要なアルバムに参加し、ブラジル・フィリップス社の重役まで務めていました。有名なところではエリス・レジーナの全盛期のアルバム『コモ・イ・ポルケ』や『イン・ロンドン』でギターを弾き、アレンジもしていますし、ナラ・レオンの晩年のボサノヴァ期の多くのアルバムもメネスカルとの共演で実現したものといえます。

 と、ここまでメネスカル氏の功績について書いてきましたが、近年の活動はちょっと「あれ?」という部分無きにしもあらずというのが正直なところ。彼とカルロス・リラによる映画『ディス・イズ・ボサノヴァ』については、ボサノヴァ発生時のエピソードは楽しいし、リオの雰囲気を行った事のない人に味わってもらうには良い映画と思いますが「むむ。この人選はどうかな?」的な部分も否めません。ご自身のレーベルで多数制作している「○○をボサノヴァ的にアレンジしてみましたコンピ」等についてもなんだかなぁという気が…。でも、昨年来日された時に会いに行って「バルキーニョという店をオープンしましたのでサインちょーだい!」と言ったらちゃんと快く書いてくれたし、まーいいか(笑)。

 そうそう、先日バルキーニョで中村善郎さんのライヴがありましたが、その時ちょっとおもしろいエピソードをお聞きしました。なんでも以前メネスカル氏が来日した時に、中村さんがメネスカル氏の前で「O Barquinho」を歌ったところ「いいねぇ。それはいったい誰の曲だ?」と言ったそう。その瞬間横にいたレイラ・ピニェイロが大爆笑していたらしいのですが、まんざら冗談のような雰囲気でも無かったらしいです。中村さんは「よっぽど僕の演奏が悪かったのかなぁ。そんなことは無いとは思うのだけど」とおっしゃっていましたが、まさかそんなわけないですよね。なんかその適当な感じが憎めないし、やっぱりホベルト・メネスカルの曲が無かったら確実にボサノヴァは何割か魅力が減じていたと思うのです。
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2009年11月04日

11月8日はcomigo!

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11月8日に日本のブラジル音楽人が大集合!!
詳しくはこちらへ!
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2009年11月01日

ちょり〜んス

Bar Blen blen blen 宿口豪 http://www.blenblenblen.jp

ブーラーズィゥ!ブーラーズィゥ!

毎日目まぐるしく楽しすぎてパソコン見る暇がありましぇ〜ん、ちょり〜んス。

「ちょり〜んス」ってこないだ吉祥寺で外国人に教わったんですけど、すごく流行ったけどもう古いらしいっすね。

最近全くTV見ないので全然知らなかったッス、ちょり〜んス。

すいません。

さて、告知させてください!

久々にソウル・ミュージックをかけ倒すパーティーでDJやりまっす!

橋本徹さん、山下洋さん、CHINTAMさんというマチガイないメンバーです。ヤバいっしょ?

その名も「Soul Souvenirs」。

このイベントのキッカケになったエピソードはコチラ!

もともと音楽にハマるキッカケを僕に与えてくれたのがソウル・ミュージック。
実はヒップホップ以前にソウルだったんですよ。

そして僕にその魅力を教えてくれた十数年来の大先輩方と今回肩を並べてDJさせて頂くワケですが、少々おこがましいかな〜なんて謙遜しつつ、大好きな曲をガンガンかけ倒そうと思っています!

ということで11/6(金)は1:00閉店とさせて頂きますのでよろしくお願いいたします。

今からワクワクしちゃうな〜、皆様のご来場をおまちしてまーす!

以下詳細です!


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Soul Souvenirs

11/6(金) 22:00〜5:00
CASE#00001(03-5456-2522)

DJ :橋本徹(Cafe Apres-Midi)  山下洋(Freedom Suite/Wack Wack Rhythm Band)   CHINTAM(Blow Up Record) 宿口豪(Bar Blen blen blen)

入場無料

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2009年10月10日

黒田恭一さんのこと、良い夫婦の日のパーティ

 bar bossa 林 伸次 http://barbossa.com

 黒田恭一さんが亡くなって4ヶ月になります。
 黒田さんは生前、バール・ボッサによく来店されていたので、その思い出を少し書いてみます。

 黒田さんが初めて私に声をかけてくれた言葉を今でもはっきりと覚えています。10年近く前のことなのですが、私がユニヴァーサルの「トム・ジ・ボッサ」というボサノヴァのCDのライナーを書いたことがありました。黒田さんはそれを読んでくれたみたいで、「あの文章を書いたのはあなたですか? あなたの文章は素晴らしいですね。あなたは文章を書く仕事をもっとやった方がいいですよ」と言っていただけたんです。

 「うわー、こんな大先生にこんな風にほめられるなんて」と私はとても嬉しかったのですが、黒田さんはその後がすごいんです。

 文化村の偉い人とか、出版社の偉い人とかを連れてきて(黒田さんと一緒に飲むくらいの人だからみんなすごく偉い人ばかりなんです)、その出版社とかの偉い人に「ほら名刺を出して出して」と催促して、「この林さんの文章、すごく良いから、ボサノヴァのことで何かあったらこの人に頼んで下さい」なんて言ってくれるんです。

 私はもちろん恐縮しっぱなしだったのですが(まだ20代でした)、なんか黒田さん、すごい人だと思いませんか?

 それでとにかくバール・ボッサのことも気に入ってくれたみたいで、仕事上の付き合いの人だけではなく、奥様や学生時代の友人とかも毎週のように連れて来店していただけるようになりました。

 黒田さんの思い出といえば、こういうこともありました。

 みなさんご存じのように、バール・ボッサのオーディオ装置って全然お金をかけていない、全く素人なものなんですね。で、オープン当初からお客様に「オーディオ、もっと良いのにした方がいいんじゃない?」とずっと言われ続けてきたんです。

 しかし、私はいわゆる「機械モノ」に全く興味がなく、車とかPCとか時計とかそういう男の子っぽいものに対して全く興味が持てないんです。「いやー、オーディオに50万円かけるんなら50万円分のレコードを買いたいなあ」なんて思うタイプなんです。
 
 →あのー、ごめんなさい。そういう「機械モノ」に興味がある人を否定しているわけじゃないんですよ。それはそれで立派な趣味だと思うんです。本当に。でも自分はどうも違う人種なんです。基本的に何かに病的にこだわっている人はすごく好きです。

 さてある日のこと、カウンターに座った二人組のお客様がこう話しているのを耳にしてしまったんです。「いやー、このお店の音、ひどいね」「(この店主は)たぶん良い音っていうのを聞いたことないんだよ」。どうですか? なかなか傷つく言葉ですよね。

 で、もしかしてわかっていないのは私だけで、お客様のほとんどが「ひどい音だなあ、不快だなあ」と思っているのかもしれない、と考え始めたのです。だとしたらお店にとってマイナスです。

 さて、黒田さんはオーディオもとても詳しい方として有名です。ですからこれは黒田さんに相談して、もし可能ならオーディオに関するアドヴァイスを受けたり、そういう業者を紹介してもらおうかなと思ったわけです。

 黒田さんが来店したときにこう言ってみました。「あのー、黒田さん、うちのオーディオの音ってどう思いますか?」「え? 良いんじゃないんですか」と黒田さんが驚いた顔で答えました。そこで私は「いや、お客様に『音が良くないからオーディオを変えろ』ってよく言われるんですよ」と言ってみました。すると黒田さんはちょっと怒ったような表情になって「そんなことをいう人は、このボッサさんのお客じゃないですよ。そんな言葉は無視しておけばいいんじゃないですか」って言ってくれました。

 これも黒田さんらしい言葉だと思いませんか?

 さてさて、ここからはいつもの私の文章のパターンなのですが、ちょっと重苦しくなります。

 私は以前、ヴィニシズモ(※)というフリーペーパーを作っていたことがありました。メンバーは伊藤ゴロー、サンクの保里正人、ヤンググループの土信田有宏、そして今は亡き伊藤愛子(ヲノサトルさんの奥様でボサノヴァ・オンラインの伊藤達之さんの実妹です)という今では考えられないメンバーでした。

 そのフリーペーパーで、「次号はクラシック特集にしよう」と決まりました(もちろんゴローさんのアイディアです)。そして、その企画の目玉は「ヴィニシズモが黒田恭一に会いに行く(Vinicismo visita Kurokyo)」というもので、要するにみんなで黒田さんに会いに行ってクラシックの面白さを教えてもらおうという企画だったわけです。

 私は黒田さんの名刺を持っていたので、黒田さんに手紙を書くことになりました。「実はこういうフリーペーパーをやっておりまして、次回はクラシック特集になりました。そこで是非、黒田さんに登場してもらってクラシックの魅力を語っていただけないでしょうか。そこで実は言いにくいのですが、ちょっと資金不足でして黒田さんにギャラが払えません。出世払いというのでどうでしょうか」という文章をもっと丁寧に書いて、投函しました。

 私は黒田さんからの連絡を今か今かと待っていたのですが、いつまでたっても返事は来ません。さらに、何ヶ月待っても黒田さん本人がバール・ボッサに来なくなったのです。それまでは2週間に一度くらいの割合で来てたんですよ…

 結局、黒田さんは2度とバール・ボッサには来てくれませんでした。私はいつか、黒田さんに何かのかたちでお会いして、あの時の非礼を謝ろうとずっと言葉を考えていました。しかし、その言葉は伝えられないままでした。

 今考えてみると、黒田さんの気持ちがすごくよくわかります。黒田さんはどの組織にも所属しないで、たった一人で文章を書くという仕事で生活をしていたんです。そしてバール・ボッサにはお客として、ちゃんとお金を支払って通ってくれていたわけです。黒田さんが文章を書くのがビジネスであれば、私がお店でお酒を出してお金をもらうのもビジネスです。そこに「仲が良いんだからタダでお願い」という甘えは許されなかったんです。

 これはフリーでやっていく人には「絶対に譲れないところ」なんです。

 中原仁さんという人がいます。中原さん本人もこのブログを読んでくれているので、ちょっと持ち上げているようで本人もそういうことを嫌がるのはわかるのですが、ちょっと書かせて下さい。

 この中原仁さんも黒田さんと同じようなスタンスをとっていて、いつも「ああ自分もマネしなきゃな」と思うことがあります。

 中原さんが企画したイベントがあるとします。そのイベントのフライヤー、私は郵便で送ってもらってもいっこうに構わないのですが、中原さんは必ずお客様として飲みに来て、ちゃんとお金を支払って、そして帰りに「これイベントのフライヤーなんですけど置いてもらえますか?」とおもむろに取り出す訳なんです。

 中原さんは、自分がやっていること(ビジネス)と私がやっているお店(ビジネス)との関係性をあやふやにしないようにしているんです。

 中原さんが何杯か飲んで、最後に、メガネに手をやりながら「そういえば林さん」とフライヤーの束をあの大きい鞄から出すとき、いつも私は黒田さんへの失礼な手紙のことを思い出して後悔してしまいます。

 黒田さんに天国で再会できたとき、うまく謝れればいいのですが…


 ※ヴィニシズモという言葉はもちろん造語で「ヴィニシウス主義=ヴィニシウスみたいに酒と女と文学と音楽を愛するような人生を送ろうぜ」という意味です。ハーバードを出た言語学専門のブラジル人にも「すごくかっこいい響き!」と絶賛された言葉です。いつでも再開する気持ちはありますので、興味のある人は声をかけて下さい。


 さてさて、お店の宣伝です。

 11月22日にバール・ボッサで小さいパーティを開きます。毎年恒例の南仏大岡さんのヌーヴォーと、ちょっとしたおつまみと、山本のりこさんのボサノヴァ・ライブです。

 色んな出会いがあればと思います。あ、男子独身者が少ないのでよろしくです。

 詳しくはこちらへ
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2009年10月03日

バーデン・パウエル

barquinho ヒガシノリュウイチロウ http://barquinho.biz/

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 このところ「いかにしてボサノヴァ/ブラジル音楽にたどりついたか」というテーマで書いていますが、今回はバーデン・パウエルでいきます。とはいうもののバーデンは日本の、いや世界のブラジル系ギタリストの中では圧倒的人気がある人なので僕なんかが紹介できることはとても限られているのですが。

 例によって個人的な思い出から始めます。以前ジョアン・ジルベルトのことを書いた時、1992年くらいからボサノヴァに本格的にのめりこんだと書きましたが、同時に弾き語りを学べる楽譜が無いかなと楽器屋に行って入手したのがギタリスト江部賢一さん著による『ボサノバ・ギター・ソロ・テクニック』というものでした。この当時は今のようにボサノヴァの弾き語りを主体とした楽譜は全く無くて、この本もバーデン・パウエル系のソロ・ギター譜でした。結局目的が違うこともあって、最後まで1曲もまともにソロ・ギターの曲を弾けることはありませんでしたが、巻頭に載っているそれまで弾いた事が無かったテンションコードのダイアグラムや、ボサノヴァ・バチーダのリズムパターン譜には大変参考になりました。10年前に東京に引っ越して来た頃、友人の紹介で江部賢一さんにお会いしたことがありますが、とても優しい感じの方で、無理やりお願いして「イパネマの娘」を弾いていただいたのを覚えていますが、バーデン・パウエル系の素晴らしい演奏でした。

 さて、楽譜だけではいまいちよくイメージできないので、また楽器屋でうろうろしていると今度はギタリスト佐藤正美さんが制作された『ボサ・ノヴァ・ギター』という教則ビデオが見つかりました。これまた練習曲がバーデン・パウエル系の「イパネマの娘」で、挑戦してみましたがテーマの部分までで挫折。結局弾き語りをマスターするには自分でコピーするしかないのかと、ジョアン・ジルベルトのCDを聴きまくって、耳コピーする日々が始まりました。

 というように当時日本でボサノヴァ・ギターというとバーデン・パウエルから逃れることは出来ない状況で、ジョアン・ジルベルト的弾き語りの教材が揃ってきたのは最近のことだと思います。しかも昨今はYouTube等でジョアンはおろかありとあらゆるブラジルのアーティストの演奏が観られるし、僕が始めた頃から考えると夢のような状況ですね。

 そうそう、これも紹介し忘れてはいけないのですがピエール・バルーが制作した『サラヴァ』という映画でもバーデン・パウエルは重要な役割を担っていました。これはフランス人ピエール・バルーが1969年にブラジルに旅して、様々なミュージシャンに会いにいくというドキュメンタリーですが、ここでピシンギーニャなどの重鎮との橋渡しをしているのがバーデン・パウエルなんですね。もちろん若き日のバーデンの貴重な演奏シーンも満載なので、ブラジル音楽ファンは必見といえる作品です。このビデオもブラジル音楽に出会った頃すり切れるくらい繰り返し観たものでした。

 かようにここ日本でブラジル音楽を聴いたり、ギターを弾いたりする上でバーデン・パウエルに全く触れずにいることは難しいともいえるのですが、個人的には彼の作品にスポットを当てると「あれ?」と思うことが少なくないです。もちろん全ての作品を聴いているわけではないのでなんとも言えないけれど、彼はギターを弾く事が目的で、あんまり録音に興味無かったのではと思ってしまいます。ものすごい鬼気迫る演奏のあとに、気の抜けるような本人のヴォーカルが入ってきたり、ナチュラルで聴きたいギターにすっごいきついディレイをかけてみたりと、ちょっと自己プロデュース的センスが無いのかなと…。あと、バーデンの作風はいわゆるカフェ的な響きとは最も遠いところにある作風で、とてもプリミティヴな雰囲気を持っていますね。実際バルキーニョでかけることはまれだったりしますが、個人的にはやはり天才だと思いますし、ワン・アンド・オンリーの存在だと思います。

 最後にバーデンのおすすめ作品をひとつあげるとするならば、やはりエレンコからリリースされた『ア・ヴォンターヂ』でしょう。1曲目に世界のギタリストに衝撃を与えた「イパネマの娘」が入っていますし、「ビリンバウ」「宇宙飛行士」「コンソラサォン」「サンバ・トリスチ」などの彼の作曲による代表曲も多く収録されているので、バーデンのというよりもボサノヴァの名盤の1枚だと思います。



 さて、本日からいよいよ『ブラジル映画祭2009』が始まりますね。映画を観に渋谷に来られた際にはぜひB+2各店へ。映画祭にちなんだオリジナルカクテルを用意してお待ちしております!あと、リオ・デ・ジャネイロ、オリンピック開催地決定おめでとう!
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2009年09月25日

秋、大好き〜!

Bar Blen blen blen  宿口 豪 http://www.blenblenblen.jp

秋ですな。
大好きな秋ですよ、一番好きかもしれない。

食欲の秋ですよ。
でもサンマは8月の方が美味いけどな。

スポーツの秋ですよ。
何もしてないや、チャリンコに乗ってるくらいか?

読書の秋ですよ。
今月はまだ税金の本しか読んでないよ、必要に迫られてな(誰か俺に金をくれ)。


ということで、芸術の秋なんです、ハイ。

さあ、ブラジルからの新しい音楽、秋になっていっぱいリリースされてますよ〜。
ラティーナで買いまくりよ。

例えば、コレだ!
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Mart’nalia(マルチナリア)の『Minha Cara』。

90年代にリリースされていた音源の復刻盤だって。
ジャケはまるで香取慎吾だが、中身は極上のメロウ・サンバ集だよ。

とは言ってもNRTからリリースされてる名作『Menino do Rio』のような清々しい洗いざらしのサンバじゃなくて、アーバンな感じよ。

リオ的アーバン感ね、夜の感じ?

例えば、クラブで遊び疲れた深夜3時、ホテルのあるコパカバーナ海岸に向かうタクシーがアトランチカ大通りに入った時に、カー・ラジオからこんな曲がかかったら・・・死んじゃうね、サイコーすぎて。
ああ、死んでしまうとも。

レーベルはビスコイト・フィノ。間違いないでしょ。


そして大本命、Ana Carolinaの『Nove』!
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プロデュースはなんとカシン、マリオ・カルダート、アレ・シケイラ。
コレはヤバい!

ゴタン・プロジェクトを彷彿させるタンゴ・ミーツ・エレクトロニカな楽曲あり、ヴォコーダーや太いホーン・セクションが鳴り響く、カシンのプロデュースが冴え渡るサンバあり、去年リリースされたアルバムがブラジル音楽ファンの間でも話題を呼んだ、エスペランサ・スポルディングが華を添える美しいスロウ・ナンバーありの大充実作よ。

極めつけはジョン・レジェンド(!)とのデュエット!!

スゲーいい曲

死ぬ!ああ、死んでしまう、イイ曲過ぎて〜♪

どういう経緯でこの奇跡のデュオが実現したんだろう、誰か教えてください。

アナ・カロリーナの曲って日本の秋にぴったりなんだよな〜、不思議よね〜。

これからブラジルは夏に向かっていくので、新譜のリリースも加速していきますから、年末前後までは要チェックですね。


さあ、芸術は音楽だけじゃないよ。

映画もヤバイ!

ブラジル映画祭、今年もはーじーまーるーよーー!

東京は10/3〜9、場所は渋谷シアターTSUTAYA、大阪は10/10〜16、場所はシネ・ヌーヴォ。

何といっても目玉は『ミステリー・オブ・サンバ 〜 o misterio do samba』ですよ。
ミステリーと言っても殺人事件とかじゃないよ。

マリーザ・モンチのプロデュースによる、老舗サンバ・チームの長老達にスポットを当てたドキュメンタリー・フィルムなのです。

ざっくり言っちゃうとブラジル版『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』か?

コレはヤバイでしょう!

上映に先立ち、Blenでは中原仁さんによる予習会も開催しますよ〜。
参加すれば映画を何倍も楽しめるはず!


今回は『カルトーラ』も再上映するから、もう全音楽ファン必見だね!

そして!

『ヴィニシウス』に続き、この度「ブラジル映画祭2009」とも「渋谷B+2」はコラボレーションしますぜ。

各店でオリジナル・カクテル「シネマ・ノーヴォ」を用意して皆様をお待ちしておりますよ。

詳細はコチラを見てくんなまし。


そういえば『ヴィニシウス』の時は、個人的にちょっとバタバタしていて映画館には足を運べなかったのですが、8月に大先輩、山名昇さんから電話がかかってきて「ゴウ、今吉祥寺の映画館で『ヴィニシウス』演ってるから観に行こうぜ」という素晴らしいお誘いを頂き(粋な人は誘うタイミング、誘い方までホント粋なのだ)、ようやくスクリーンで堪能できました。

そして、音楽をデカイ音で聴かなきゃいけないように、やっぱり映画はデカイ画面で観ないといかんな〜と思ったのでした。

作り手は大きなスクリーンで鑑賞されることを前提に映像を撮ってるワケだから、然るべき環境じゃないとその作品を観たことにはならないよな〜、なんて。

だから今回は何とか時間作って渋谷シアターTSUTAYAに足を運びます!


さあ、短い秋を大いに堪能いたしましょうね!


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2009年09月09日

やってみたいお店

http://barbossa.com/index.html bar bossa 林 伸次

 もし「売り上げとか全然気にしなくていいから好きな店やってみて」と言われたら、私は正直、バーはやりません。

 もちろん、バー経営とかバーテンダーの仕事ってすごく面白いんですよ。でも、色々と大変なことがあるんですよ、この仕事。

 で、はじめの話題に戻ると、私は「だったらこんなお店をやりたい」です。

 店の大きさはバール・ボッサを少しだけ小さくしたくらい。店の3分の1が飲食部門で、テーブルが二つとカウンターのみ。メニューは3つだけで、カレーライス(これがメチャクチャおいしい)と、ホット・コーヒーとアイス・コーヒーだけ。紅茶もお酒もありません。

 で、店の3分の1はレコードとCDの販売。新譜も扱うけど、基本的にはブラジルとアメリカの買い付けの中古レコードと中古CD。

 レコードとCDの内容は、昔、15年くらい前、東北沢にあったラストチャンス・レコードが一番近いでしょうか。ブラジルとサントラと静かなジャズ(ヴォーカルもの、ピアノもの、ストリングスもの)と室内楽のクラシックのみのお店でした。ロックなし、ソウルなし、レゲエなし、ブルースなし、バップなし、交響曲なし、です(あの、ロックとソウルが嫌いなわけじゃないですからね。今でもT-REXとかテレヴィジョンが街でかかっているとしびれています)。

 ちなみにこのラストチャンス・レコードで店員じゃないのに自由にカウンターの中に入って高価なブラジル盤をかけてるお兄さんがいて、「あの人羨ましいなあ」と思っていたら、その人が伊藤ゴローさんでした。

 「あれれ、林、今頃レコード?」と思ったあなた。友人のダウンタウン・レコードの土田君もよく言っているのですが、今、結構レコードって売れるんですよ。今続々と各社がレコードを発売しているんですけど、どれもがCDなんかより全然売れているんですよ。

 今、CDしか出ていなかったタイトル、例えばジョアンの「声とギター」的なアルバムをレコードで発売すると結構いけると思いますよ。

 さて、残りの3分の1はもちろん古本コーナーです。本当は新品の本でもいいのですが、出来ればその本を持ってテーブルでコーヒーを飲みながら読んでほしいのです。そう、本は売っているのですが、マンガ喫茶のように自由に読んで良いわけです。

 というわけで、この本は私の好みを反映しつつ、コーヒーを飲みながら読めるような本をセレクトするわけです。

 だから小説は長編ものではなく、短編集を中心に置いています。レイモンド・カーヴァーや芥川龍之介、内田百閨A星新一は短いのばかりだから確定ですね。トルーマン・カポーティ、ガルシア・マルケス、ヘミングウェイ、村上春樹、安部公房も長いのじゃなくて短編集です。夏目漱石はそういう理由で夢十夜とかだけですね。

 短編のみとなると、そうかポール・オースターとトバイアス・ウルフが置けないのが残念です。

 あと、忘れてはいけないカズオ・イシグロ。この人の最新作の短編集「夜想曲集」読みましたか? ただの海外文学好きだけに独り占めさせたくない、「本当の音楽好き」にオススメしたい名作ですね。

 あとエッセイ集もかなりの部分をしめますね。エッセイってお店でコーヒーを飲みながら読むのにぴったりですから…

 エッセイは翻訳家のものが何故か面白いって知っていましたか? 青山南、柴田元幸、岸本 佐知子、この3人は新刊が出ると確実に買う人たちです。中でも青山南の文章は本当に好きで、(誰も気付かないけど)しょっちゅう真似しています。

 最近は時の人って感じの穂村弘のエッセイ集も全部揃えたいですね。この人は「ウジウジねた」が有名ですが、時々すごく本気に「言葉について」書くときが最高なんです。

 詩人のエッセイも良いですよね。長田弘のねこに未来はないは必ず置きたい本ですね。

 そうそう、作品社から出ている日本の名随筆ってご存じですか? これ、名シリーズですよね。実は私の実家にこれが全巻あるので、実家から持ってきてお店に置きたいです。

 あと、そういう場所で自分が読みたい本を考えみたら、結構シリアスなノンフィクションものが読みたいですね。これも短いのを選びたいですが、長くてもOKにします。

 猪瀬直樹ってみなさん意外と未チェックだと思うのですが、すごくロマンティックな人で優れた作品が多いんですよ。ミカドものも面白いのですが、空気と戦争あたりはどうでしょうか。面白いですよ。

 保阪正康も置きたいですね。検証・昭和史の焦点という本があるんですけど、これのトラウトマン工作が面白くって最高! 下手な小説よりよっぽど心が震えます。「歴史にIfはないけれど…」というあれです(すいません、2次大戦史とにかく好きなんです)。

 あと、前世への冒険も必ず置きたい本ですね。これ、おそらく誰もチェックしていない本だと思うのですが、面白いんですよ。

 こういうお店では定番ですが、沢木耕太郎も置くべきですよね。この人の本に出会って人生が狂う若者をもっと増やしたいです。ちなみにこの人、5年くらい前に今は亡き渋谷のブック・ファーストで見かけたんですが、ムチャクチャかっこよかったです。

 さて、マンガは置くべきか? うーん、難しい問題ですね。ここはあえてやめておきます。あ、フジモトマサルだけ置こうかな。

 どうですか? 個人的にはこんなお店があったら本気で通うんですが…

 あ、お店の宣伝です。またボッサ・レコード更新しています。前回、すごく好評で問い合わせも多かったので、頑張って更新続けます。よろしくお願いします。

 ええと、さらにお店の宣伝です。bar bossaはシルヴァー・ウイークでしたっけ。その間も全部営業いたします。日曜日もやりますよ。是非、ご来店下さい。
posted by ベーマイストレス at 15:02| Comment(0) | ブログ